*

IT2013年問題

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

私の新しい趣味について、いろいろな提案をいただき、ありがとうございます。
特にいくつかはひじょうに興味深く、ただいま検討中です。

ところで、今すごく困っていることがある。
またIT問題だ。

ITは2000年問題とか2045年問題とかあるらしいが、私のところでは
毎年が大問題だ。
なので、今年こそ「IT元年」と名付けて、新年早々、ITに真剣に取り組み始めた。

まず最初に行ったのはパスワードの確認である。

たまにfacebookとか開こうとすると「おまえのパスワードは何だ?」と高飛車に訊かれる。
たかが機械がえらそうに。
しかも「おまえの母親の出身地はどこだ?」とか「好きな飲み物の名前を言え」とか
高飛車にして執拗である。何様だ、おまえ。

で、その質問に答えられないのがもっと頭に来る。
なんて入れたか思い出せないのだ。
そして、ついに思い出せないまま、フェイスブックを閉じたことが何度あったことか。

同じ事がアップルIDとか、他のさまざまなアプリケーションやショッピング、会員登録、ネットバンキングなどにも起きた。
ITに取り組もうとすると、まずパスワードに行く手を阻まれるのだ。

これはいかん!ということで、メモ帳やその辺の紙切れなど、あちこちに書き散らかしてあるパスワードを拾い集め、
さらには「パスワードを忘れたやつはこっちで訊け」とかいう場所をクリックして、
いろいろ個人情報を書いて、メールで再交付してもらったりした。

それを新しいメモ帳に丁寧に書き並べ、どれが何のパスワードや合い言葉なのか、
一覧表にした。
「これでバッチリ!」と思ったのだが、そこでハタと気づいた。

こんな一覧表、落としたり誰かに盗まれたりしたら大変だ。
私のすべての情報が入っているんだから。
なので、あれこれ考えた挙げ句、とてもナイスな場所を思いつき、そこにメモ帳をしまった。

さて。
今すごく困っているのは、そのナイスな場所がどうしても思い出せないことだ。
すべてのパスワードやログインIDや合い言葉がそこにあるんだもんな。
しかもそれまでの書き散らかしたメモ帳や紙切れは処分してしまったし。

まるで落語だが、残念ながら事実。
このままではIT元年どころか私の普通の生活が成り立たない…

         ☆             ☆                ☆

2月18日発売の『謎の独立国家ソマリランド』のカバーと帯のデザインが確定した。
ものすごくかっこいい。
データをプリントアウトして、手近な本に巻いてみたら、もう新刊ができあがったかのよう。
とくに背表紙がすごい。

早く発売日にならないものか。

関連記事

no image

骨と沈黙

年に一度のお楽しみ、本の雑誌増刊の「おすすめ文庫王国2009」で 佐藤多佳子が自分の文庫オールタ

記事を読む

no image

四万十の至福

将来の極秘プロジェクトについて相談するため、 先週末から四日ほど高知・四万十市(中村)に行き、 現

記事を読む

no image

謎の国際ボランティア特殊部隊@浦安

後輩Kとネパール人のクマルという国際統合失調症コンビを引き連れ、 浦安市の被災地へボランティアに行っ

記事を読む

no image

猪木信者は本屋信者でもあった!

2年ほど前、「本の雑誌」で「プロレス本座談会」なるものが開かれ、 私も「レフリー:ジョー高野」とし

記事を読む

no image

昔の縁

仕事というより雑事に追われて ブログを書く時間もなかなかとれない日々が続いている。 昨日は稲城市で上

記事を読む

no image

とんだハプニング

やっと仕事の山が峠を越えようとしていたとき、ハプニング。 一昨日の夜中(もしくは昨日の未明)に突然、

記事を読む

no image

ふがいない僕は空を見た

窪美澄(くぼ・みすみ)『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)を読む。 最初の「ミクマリ」という短篇で

記事を読む

no image

大槻ケンヂと一緒にオカルト番組?

 今度の1月から3月まで、オーケンこと大槻ケンヂ氏と私が二人で 深夜番組をやることになった。  もう

記事を読む

no image

末っ子はわるくない

金曜日、警官の職質とバーティカルでの取材&営業のあと、 ジュンク堂新宿店で宮田珠己、内澤旬子の両氏と

記事を読む

no image

闇の王国ブータン

ぜひ多くの人に読んでほしいと思いつつ、こちらの気持ちの思い入れが強くてなかなか紹介できなかった本

記事を読む

Comment

  1. KoH より:

    ソマリ本楽しみです

    このソフト便利ですよ
    http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se178553.html

  2. DK より:

    高野さん、そのパスワード全部ワードに打ち込んでパソコンに保存するのではダメなんですか?盗まれて困るようなネットバンキングものとか以外は僕はそうしてますが。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年11月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
PAGE TOP ↑