「ダ・ビンチ」2月号にてオードリー春日氏と対談
公開日:
:
高野秀行の【非】日常模様
現在発売中の「ダ・ヴィンチ」2月号にて、オードリーの春日俊彰氏と対談している。
私はテレビが苦手である。
90年代、住んでいた早稲田の三畳間には十年近くテレビがなかったし、外国へ行っている時間も長くて
たまにテレビを見ても俳優も歌手もタレントも芸人も誰が誰だかさっぱりわからない。
とくにバラエティ番組は内輪ネタが多いので、「○○さんがこんなこと言ってた」とか「この人、××そっくりや」などと聞いても「?」と思うだけなのである。
外国のテレビを見ている気分といえば、少しわかってもらえるだろうか。
もっとコントや漫才そのものをやってくれればいいのだが、たいていはスタジオで喋っているだけだ。
なんだか、連載マンガを途中から読むようで、ついていけないのである。
だから私のよく知っているお笑い芸人も、たけし、さんま、タモリで止まっている。
顔と名前が一致するのはダウンタウンまでだが、それでもどんな芸風なのかは全く知らない。
今回も「オードリーの春日さんと対談しませんか」という話が来たとき、
当然、全く知らなかった。
ネット検索で調べると出演する番組や画像が出てきたが、どれも見たことも聞いたこともなかった。
どうしてそんな人と私が対談するのかというと、春日さんがアフリカやニューギニアなどの「部族」を訪ねるというバラエティ番組のコーナーをもっているからだった。
どんな民族を訪ねているのか見てみると、半分以上は名前すら聞いたことがなかった。
衝撃である。
私がお笑い芸能人を知らないのは当たり前としても、同じように辺境の民族も知らなかったとは!
よくよくネットや民族事典などで調べてみると、多くは保護されて伝統生活を維持している人たちで、
特にエチオピア南部に住んでいる民族がいくつも含まれていた。
たしかにあの辺はなかなか行くのが難しい。
変な話だが、ふつうの旅では行けない。「観光客」として行くしかないようなところなのだ。
ガイドとドライバー付きで一日100ドル、「部族」の人たちは写真一枚5ドルとか、そんなところが多いようだ。
でも、たとえ観光で収入を得ていても、そういう民族は西洋文明化された他の一般住民とは隔絶した生活を送っていることはたしかで、いいか悪いか別として、独自の生活様式をかなり残しているだろう。
そんな民族の村に10も20も行き、短い滞在ながら観光客とは全くちがった接触の仕方をしている春日さんが
正直言って羨ましい。
まあ、そんなことが多少なりとも伝わる対談になっていればいいと思う。
関連記事
-
-
バトルロイヤル、参戦!
先日「酒飲み書店員(中略)大賞」なるものに選ばれ、千葉と都内東部を席巻している(?)「ワセダ三畳青春
-
-
私の2006年上半期ベスト本はこれだ!
先月のことだが、「本の雑誌」編集部から、「高野さんの個人的な2006年上半期ベスト1を教えてほしい」
-
-
海賊の少年とすしざんまい
裁判というのはひじょうに傍聴が難しい。 いつ行われるのか直前にならないと公表されないのだ。
-
-
『わが盲想』の意外な落とし穴
いよいよアブディン『わが盲想』(ポプラ社)が本日発売である。 宮田珠己部長には前もって献本
-
-
島国チャイニーズと沖縄系ブラジル人
読了してから時間が経ってしまったが、野村進『島国チャイニーズ』(講談社)は 万人にお勧めの良書であ
-
-
犬と辺境旅をしてみたい
最近頭がぼやあっとして、ここに書いたかどうかも憶えていないのだが、 7月1日に行う旅の本屋のまどでの
- PREV :
- 2015年読んだ本ベストテン<ノンフィクション>
- NEXT :
- 「Brutus」にて“辺境小説”を紹介