*

ソマリランドをラクダで探検する

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

来年の今頃、ソマリランドとプントランドの国境地帯をラクダで旅しようと思っている。
ピラミッドみたいな謎の古墳(写真・上)やギアナ高地のような巨大な断崖と密林(写真・下)があり、
何がどうなっているのかさっぱりわからないからだ。

知り合いの映像作家K君に話したら「ぜひ行きたい」というので
二人で初めてその打ち合わせ。

店のテーブルにソマリランドの地図を広げて、あれこれ真剣に話をしようとするのだが、
場所がなんともよくなかった。
シャン料理店「ノングインレー」なのである。

周りには日本人はおらず、シャン語、ビルマ語、タイ語が飛び交い、
私も自動的にそれらの言葉を使ってオーダーとしてしまう。
高菜漬けや豆腐、納豆を駆使したシャン料理は美味く、ホッとさせる。
人は当たりがやわらかい。やさしい。
「ああ、早くシャンに行きたいな…」と無意識のうちに考えていて、
全然「ソマリでラクダ」の気分が盛り上がらない。
むしろ「シャンでゾウ」という感じだ。
(シャン人はゾウを使わないが隣接する少数民族が使っている)

これは私の「目先の状況にすぐとりこまれる」というカメレオン的な性質から来るもので、
ソマリランドに行けば、その世界にすぐ没入するに決まっている。
今年は足腰を鍛えて来年に備えたい。

☆            ☆              ☆

ところで、三日ほど前から花粉症である。
花粉症は腰痛以上に情けない病気ともいえない病気で、ほんとにガックリする。

実は3年前にも一度花粉症になったのだが、ちょうど三日もしないうちにブータンに向けて出発、
一ヵ月後に帰ったらもう何も起きなかった。そして一昨年も去年も無事にクリヤーしたのだ。

やっと長い冬が終わり、春になったかと思ったら、花粉症って、日本は(東京は?)一体何なんだよ!と言いたくなる。
外国に脱出したいところだが、ソマリ本の著者インタビューなどがひっきりなしに入ってくるし、そうもいかない。
西日本に三、四日の期間で旅行に行くとか、まだ雪の残っている山に登るというのが現実的な避難方法かもしれない。

☆            ☆            ☆

元「たま」のランニングこと石川浩司さんと何か「旅のトークイベント」みたいなものをやりたいのだけど、
誰か企画してくれる人はいないだろうか。
石川さんは台湾の電車でサイコロを振って双六をしながら旅をしたり(3が出たら3つ先の駅で下りて、変なことをやらなければいけないとか)おもしろい旅をずっとやってきている人だから、話はおもしろいはず。
ご希望の方はご連絡ください。

関連記事

ムエタイのちチュニジア飲酒紀行

3,4日前に発売になった「ゴング格闘技」7月号で、格闘家・ムエタイ研究家の菱田慶文先生(帝京平成

記事を読む

no image

話題の書

本の雑誌杉江さんの「炎の営業日誌」を見てびっくりした。 http://www.webdoku.jp/

記事を読む

no image

鴎外、ダメじゃん!

ひきつづき、吉村昭。 今度は慈恵会病院の創始者で海軍医総監にもなった医師・高木兼寛の一生を描いた

記事を読む

no image

怪談実話系7で「神隠し」

『怪談実話系』というシリーズをご存じだろうか。 実話という建前で、でもフィクションも交えた「怖い話

記事を読む

no image

小さいおうち

中島京子の直木賞受賞作『小さいおうち』(文藝春秋)を読む。 まあ、書き出しから文章がすばらしい。

記事を読む

no image

マンセームー脳人間、読書界へ進出!

学研「ムー」的なものに脳が染まってフリーズしてしまうという恐ろしい状態、 それが「慢性ムー脳人間」。

記事を読む

no image

早稲田についての質問は困る

「早稲田」についての記事をつくっている毎日新聞の記者の人から取材を受ける。 その記者さんの話では、今

記事を読む

no image

妻がブータンに夜這いに…

今朝、妻がブータンに出かけた。 7月に引き続き2回目だが、今度は取材で二週間行くという。 「何やるの

記事を読む

no image

「ゴールデン・トライアングル秘史」

トウ賢著(トウはトウ小平のトウ)「ゴールデン・トライアングル秘史(以下GT秘史)」(NHK出版)と

記事を読む

no image

見上げてごらん

 前に「イスラム飲酒紀行 イラン篇」はSPA!3月24日発売号に掲載と書いたが、 どうも間違いだっ

記事を読む

Comment

  1. よっしぃ より:

    どうも
    一部の方はお久しぶりです
    mixiの管理人の吉松です。

    このエントリーで呼びかけられたイベントに
    ぜひ立候補したいと思います!
    場所も時間も未定ですが!
    多分早稲田界隈です

    ただMIXIは最近サボり気味、
    なのでFACEBOOKでやりとりしましょう。
    使い方がよくわからないけど、グループを作りました。
    http://www.facebook.com/groups/594961793865231/

    ちなみに、私は吉松史章
    http://www.facebook.com/yossy.fumi1

    同姓同名もいるから気をつけて
    MIXI高野コミュの件で、と言われれば
    様々承認します

    mixi上でもいいので
    参加意向を聞かせてください
    大体の人数読みをしたいと思います

    時は来た!それだけだ!!

    万国の高野ファンよ、団結せよ!

  2. タツ より:

    先ほどヤフージャパンのトップページに『港にラクダの大群』という写真があり、「まさかソマリアの話じゃないよなぁ」と思って見てみると、出てきた記事はまさにそうでした!
    『アフリカ東部ソマリアの首都モガディシオの港で、埠頭(ふとう)を埋め尽くすラクダの大群。ここから中東サウジアラビアへ、船で輸出される=8日』ということだそうです。

    ソマリ本を読んだ今まさにタイムリーだっただけに思わず書いてしまいました(笑)
    現地に行った人の話はやはり本当なんですね~。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2023年12月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
PAGE TOP ↑