*

「アドゥンはタイ人」さんご来場

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


上智大学の講義第2回。
ゲストであるタイの伝統音楽家アドゥンさんと大学の北門で待ち合わせていたのだが、
私が行ったときには早めに来たアドゥンさんが警備の人に連行されかかっていた。
楽器の入った大きなカートをごろごろ引っ張っているうえに
まるでヒッピーのような衣装を着ていたからだ。
「いえ、この人は不審者ではありません」と私が身元を引き受けて事なきをえたが、
そのあとアドゥンさんが「ちょっとこれから衣装に着替えたいんだけど」と言ったときには
心底驚いた。
これが衣装じゃないのか!?
マスクの下に別のマスクをつけているミル・マスカラスみたいだ。
さて、別の衣装に着替えたアドゥンさん(こっちの衣装のほうがマトモだった)、
今度は教室に
「アドゥンはタイ人」という大きな黄色い旗を立てた。
昔は「A-DOON」という英語風の芸名を使っていたが、
今は「アドゥンはタイ人」、これが芸名だという。
やっぱりおかしいんだよな。
でも演奏はさすが一流のプロ。
竹の音が鳴り響き、朗々とした歌声が流れると学生たちも静まり返った。
話もおもしろい。
「古典音楽をやっている人ほど最先端の音楽がわかる。
僕は10年前くらいにヒップホップが出てきたとき、
その『美』がすごくよくわかった」
というのには驚いた。
三遊亭圓生の話はさすがに学生はポカンとしていたが…。
(写真:私をそっちのけで、学生に直接話しかけるアドゥンさん)

関連記事

no image

離島に電子書籍を!

最近は中東・アフリカのイスラム圏に行き、取材して原稿を書くことが多い。 そういうとき、ネットは便利だ

記事を読む

no image

炎のドトール執筆日誌

「もうダメだ!」と叫んで家を出たのが去年の夏だった。 原因はインターネット。 常時接続なので、原稿を

記事を読む

自殺削減を国策として掲げたいワケ

最近、人に会うと「賞をとって忙しくなったんじゃない?」と言われるが、 実際には賞云々以前に、二

記事を読む

no image

おすすめ文庫王国2010

この前のエンタメノンフ忘年会で杉江さんに「おすすめ文庫王国2010」をいただいたので それを読んで

記事を読む

no image

銀河ヒッチハイク・ガイド

 「しばらく新刊を断ち、家にある未読の本を読もう」という“新刊ラマダン”をやっていたが、実はユーフ

記事を読む

no image

かたつむり考試院

前回のブログに読者の方からのコメントにより、 「三畳記盗作疑惑」の全貌が明らかになったが、まあ、愉快

記事を読む

no image

逃避の週末

大野更紗さんに『困ってるひと』の続編というか第2弾の連載を書いてもらうことになっていて、その構成案

記事を読む

no image

「幻獣ムベンベ 早稲田大学探検部コンゴ行」

7月12日発売のヤングチャンピオン誌で、いよいよマンガ版「ムベンベ」が始まる。 正式なタイトルは「

記事を読む

no image

幻の旅人、復活!

「旅行人」2010年上期号が届いたので、じっくり読む。 いつにもまして、マニアックな現地情報と美し

記事を読む

no image

異国トーキョー漂流記

先週、中島京子さんより初の生メール(?)をいただいた。 「高野さんの『異国トーキョー漂流記』を朝日

記事を読む

Comment

  1. せい より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja-JP; rv:1.9.0.1) Gecko/2008070208 Firefox/3.0.1
    なんて贅沢な講義なんでしょーか。うらやましい限りです。
    大学を介さず、直接、高野さんにお金を支払って受講したいです。
    可能なら、社会人向けの、公開講座をお願いします。

  2. とも より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 6.0; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.0.04506)
    今日も授業ありがとうございました。
    自分が知らなかったタイの音楽を知ることができました。
    毎回ちゃんと出席する生徒だけでメーリス作りませんか!

  3. komari-ko より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
    「アドゥンはタイ人」までが芸名なんですね!
    そこまで行くなら「アドゥンはタイ人、ウドゥンが好き」とか名乗って欲しいもんですね〜(うそです!すいません!
    >マスクの下に別のマスクをつけているミル・マスカラスみたいだ。
    ここにも笑いましたが、この そっちのけにされた高野さん の表情がなんともおもしろいです。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年7月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑