*

今までいちばんビビッたのは…?

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

上智対談講義第3回目はミャンマーで辺境専門旅行会社を経営する金澤聖太師範。
(極真空手の猛者なので私はそう呼んでいるのだ)
のっけから、「道場破りで社員ゲット」というぶっ飛び話。
ヤンゴンに一人で初めて行って、極真の道場を見つけたから乗り込んでスパーリングして、片っ端から「伸ばした」。次に行ったとき、3人だけまたスパーリングにかかってきたから『見所がある』と社員にしたという。
その他にも、自分のツアーで死人を二人出しているとか、
インパール作戦に従軍した日本兵のしゃれこうべを今でも飾っているナガ族の家に行ったとか、
昔カンボジアに駐在していた頃、ピストルを持って殴りこみに行ったとか、
ヤバイ話のオンパレードで学生もアゼン。
でも、学生のひとりが「すごく危ない目にたくさんあっていると思いますが、今までいちばんビビッたのは何ですか?」と訊かれたら、
「妻に逃げられたときかな」と答えて爆笑を買っていた。
そのあとは一転して、「日本は文化的秘境で、郷土料理でもオタク文化でも、
欧米の客に売りたいものがたくさんある」と言い、必ずしも武闘派いっぺんとうでもないことを学生にアピール。
この「転調」も効いていた。
あとで師範に連絡先を訊いていた学生が何人かいたという。
もしや就職先の候補になったのだろうか。
就職が実現すれば「道場破り話で社員ゲット」という新しい伝説が加わることになる。
あとでオブザーバーの杉江さんとも話したのだが、
金澤師範は話しなれているわけでもないのに、すごく話がおもしろい。
これは第1回、第2回の二村さん、アドゥンさんとも共通するが、
「自分の言葉」を持っているからだろう。
話すべきことがあるから、多少口べたでも話は魅力的になるのだ。
次回は、女性ながら本場タイで、プロ・ムエタイボクサーになり、
現在はムエタイ・エクササイズ・インストラクター兼ライターの下関崇子さん。
格闘系がつづく。
(写真:金澤師範の会社のツアーで行ったカチン州3白4日の旅/今年2月)

関連記事

no image

モンスタークエスト

今週はいろいろと忙しい。 月曜日は、ワセダで、アメリカの衛星放送局ヒストリーチャンネルの「モンスター

記事を読む

no image

片野ゆか「愛犬王」発売

妻・片野ゆかによる本年度小学館ノンフィクション大賞受賞作『愛犬王 平岩米吉伝』(小学館)がようやく上

記事を読む

no image

漁師の作家

 「本の雑誌」9月号が出た。特集は「エンタメ・ノンフの秋」。  これを機に各書店で、エンタメ・ノンフ

記事を読む

no image

書店泥酔野宿

土曜の午後4時過ぎ、ちょっと用事があって、近所の友人宅に行ったところ、 ビールを出してもらい、すぐ帰

記事を読む

no image

オネエとイケメンの偉大なる力!

毎週火曜日の朝は、杉江さんの「炎の営業日誌」を読むのは日課なのだが、 今日は途中からいきなり「オネエ

記事を読む

no image

銀河ヒッチハイク・ガイド

 「しばらく新刊を断ち、家にある未読の本を読もう」という“新刊ラマダン”をやっていたが、実はユーフ

記事を読む

no image

顔写真なしでよかった

『西南シルクロードは密林に消える』(講談社文庫)の 全作業が終了した。 今回、講談社文庫に初めて入る

記事を読む

no image

『ルポ アフリカ資源大国』 

ソマリアに行ったことのある日本人ジャーナリストはいないかと調べてみたら、 毎日新聞のアフリカ特派員だ

記事を読む

バングラのセレブ秘密酒宴

昨夜は必死に起きてW杯ドイツ対アルゼンチンを見ていたのだが、ちっとも点が入らず、メッシも活躍しな

記事を読む

no image

「ワセダ三畳記」が増刷!

『ワセダ三畳青春記』の増刷が決まった。 集英社文庫、5冊目出してやっと増刷だ。 私は最初『異国トー

記事を読む

Comment

  1. なつ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1)
    私の片思い中の大好きな人が高野さんファンと今日知りました。
    なので、初めてブログ読ませていただきました。
    私もがんばるので、この際、高野さんもがんばってください!!

  2. yuu2980 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.5; Windows 98)
    講義楽しそうですね。私も聴講したいです。
    でも、こっそり紛れ込んだとしたら…、年齢的に浮くな…、ギリギリアウトだな… (と、いうことにしといてください)

  3. gadogado より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; BT Openworld Broadband; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    5年ほど前にミャンマーへ行ったときにカナザワ氏にお世話になりました。ちなみに、高野本を読むようになったのは彼の勧めです。社員恒例?の雪山登山など、異国の地でもろ日本的な体育会系のオフィスマネージメントを行うミスターカナザワ。今でももう一度会って話を聞きたい人のひとりです。うーん、自分も講義に参加したい!

  4. NYPD より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.01; Windows 98)
    講義をされているのは、B系友人図鑑でご紹介されている猛者の方々がメインになっているようですねぇ〜。 その線でいかれると、トリは、やはり『屋久島の自然と山焼き』というタイトルで、ノノさんが登場されるのでしょうか?

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年6月
    « 3月    
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
PAGE TOP ↑