熊の爪跡
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
「台風の爪跡」とか「戦争の爪跡」とか、
よく「爪跡」という言葉を目にするが、じゃあ、実際の爪跡はどうなのかというと、
意外にも見たことがなかった。
足跡ならいくらでもあるが、爪跡はない。
それが今回、山形の永幡さんの案内で
見ることができた。
大井沢という地域のブナ林の中に
熊の爪跡がくっきり残っていた。
熊はネコのように木に登るという。
中でもブナは新芽も実も熊の大好物とのことでよく爪跡がついている。
手(前足)は意外に小さく、私と同じくらいか。
五本指なので見かけはかわいらしくさえある。
でももちろん爪はものすごく鋭い。
こんな跡がくっきりつくくらいだ。
実際このあと、地元の大井沢博物館に行ったら熊の剥製があり、
爪はすごかった。
こんなので顔をちょこっとはたかれたりした日には
たいへんなことになるだろう。
まさに「爪跡」なのである。
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