ミャンマーの伝奇小説「マヌサーリー」
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

ジャズとプロレスを小学生のときから愛す義姉・高橋ゆりが(とついに名前が出てしまったが)日本語に訳して今年の8月に出版したミャンマーの小説「マヌサーリー」を読んだ。
ミャンマーの国民的な作家と言われるミンテインカの代表作である。
2600年生き続ける絶世の美女、その美女が失った右手首を探し求める男たち、その右手首の甲に記された不思議な模様の刺青、その刺青の模様が次々と悲劇を呼び起こす…。
と、これだけ書いただけでも雰囲気はわかると思うが、ファンタジーというよりは、日本にも古くからある「伝奇小説」そのままだ。
滝沢馬琴が書いてもおかしくないような内容であり、あるいは、謎が謎を呼ぶタマネギをむくような構成や、古代の伝承やイメージをガジェット(小物)に使っているという意味では、アニメの「エヴァンゲリオン」すら連想させる。
ミャンマーの話なのに違和感がまるでない。大衆は昔からどこでも同じような物語を求めているんだなあとたいへん興味深く読んだ。
身びいきで言うのではなく、訳もいい。たいへんよみやすい。
他にも感想はいくつもあるが、とりあえず、一読をお勧めします。
関連記事
-
-
霊能者、超能力者におねがい
先日、図書館教育ニュースという、学校図書館の壁に貼り出す写真新聞の取材を受けたのだが、 なにせカラー
-
-
2011年個人的ベストテン発表!
2011年はあんまり本が読めなかった。 1月に犬が死んで一時的にペット・ロスになり、それがやっと少し
-
-
リキシャ・アートは語る
バングラの印象といえば、リキシャ。 自転車がひっぱるサイクルリキシャがメインだが、 人間を乗せるだ
-
-
未知動物より既知動物か
妻・片野ゆかの新刊『犬部!』がスゴイことになっている。 発売からまだ2ヵ月経ってないのに、もう4刷
-
-
今年の目標、早くも破綻寸前
今年の目標は「できるだけ仕事をしない」。 もともと私はいろんなことを同時並行でできるタイプではない
-
-
すばらしき未知動物対談
作家の宮部みゆきさんと対談した。 テーマはずばり「未知動物」。 宮部さんはネッシーをはじめとする未知
- PREV :
- 南伸坊氏のカバー完成
- NEXT :
- 大連ファッション・ビッグバン1994


