スーダン寿司
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
スーダン人の盲目の友人、というか最近では「出来の悪い弟」みたいな感じになっている
アブディンから電話が来た。
「夏バテで調子がわるい。食欲もなくてさ。寿司なら食えるんだけどね…」
とてもアフリカの砂漠から来た男とは思えん。
しかたないから武蔵境の寿司屋に連れて行った。
自分の金で回らない寿司屋に行ったのは生まれて初めてだ。
アブディンはある大手出版社から本の執筆依頼が来ている。
ついに自著が出る!と最初は喜んでいたが、この日は
「やっぱり文章を書くのは難しいね。グダグダしたことを書きたいのに
なんだかマジメになっちゃうんだ…」
とかグダグダ言いながら人の金だと思ってバカスカ食う。
「日本人は海外に寿司を広めたのは失敗だね。
だって世界中の誰が食っても寿司は美味いよ。
そりゃ、マグロもなくなるよ」
と言いながら、またバカスカ食う。
シリア人の「寿司仲間」に電話して、「オレ、今、めちゃくちゃ美味い寿司食ってるんだぜ」
と自慢したり。
こういうことをふつうに書けばいいと思うんだけどね。
(写真はブラインド・サッカーの練習中のアブディン。こういう格好いいときもたまにある)
関連記事
-
-
元「たま」石川浩司氏とのイベント
相変わらず花粉症に悩まされ、テンションが上がらない。 あまりに目がかゆいので火曜日に目医者に行き薬
-
-
『謎の独立国家ソマリランド』PV&オタク本の魔力
『謎の独立国家ソマリランド』発売1カ月を記念して(?)、 プロモーション映像を作った。 http
-
-
怪獣ノノゴン、上智に現る!
「探検業界の寅さん」「永遠の日雇い青年」こと野々山富雄氏が 上智大学の対談ゲストに登場。 かつて一
-
-
スイスのFWはコンゴ人
昨日、本の雑誌の杉江さんとスーダンのアブディンと打ち合わせをし、 寿司好きのアブが、寿司アレルギーの
-
-
世界はまだまだ広く、日本人にもスゴイ人たちがいる
まずはお詫びから。 『謎の独立国家ソマリランド』で2ヵ所誤りが見つかった。 正確に言えば、知
-
-
ときに意味もなく文庫解説一覧
別に意味はないが、書いていた原稿が一段落したので、こんなものを作ってみた。 まず拙著の文庫解説