バオバブの記憶
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

ポレポレ東中野にて、本橋成一監督のドキュメンタリー映画「バオバブの記憶」を見る。
西アフリカ・セネガルの地方にあるバオバブの巨木に取り囲まれた村の話。
少年を主人公にするのは使い古された手法だが
その少年が憧れる村の学校の先生がいい。
学校といっても草葺の小屋なのだが、そこへ毎日、ファトマ先生は
パリコレのモデルみたいなファッションで、馬車に揺られてやってくる。
若くて、ゴージャスで、美しくて、厳しくて、優しいファトマ先生は
少年に学校に来るように言うが、
少年の父親が「学校より牛の世話をしろ」というので行けない。
だから少年はバオバブの実を先生のところにもっていき、
もじもじしながら、でも嬉しそうにおしゃべりをする。
それを見て、ふふふと微笑むファトマ先生。
見ていて、全く少年の気持ちになってしまった。
ファトマ先生を見るためだけでもこの映画を見る価値があると断言しよう。
どうせお客は少ないし(昨日はたった4人だった)、
まるでセネガルの村にいるような気分になれるのもお得だ。
関連記事
-
-
新企画持ち込みについて<関係者各位>
以前より私のところにはあちこちの出版社やテレビ制作会社・テレビ局より企画が持ち込まれているが、今年に
-
-
ムスリム力士のことを考えて仕事が手に着かない
ツイッターでもちょっと書いたけど、大嶽部屋に入門したエジプト人力士アブディラーマン(アブディラフマン
-
-
イスラム飲酒紀行・イスタンブール篇
昨日、毎日新聞夕刊の「新・幸福論」というコーナーのためのインタビューを受ける。 といっても、担当記
-
-
ミステリ・ノンフィクションの傑作『龍馬史』
ちょっと前まで「学者」というのは圧倒的に年上の先生ばかりだった。 だが今は本のプロフィールを見
-
-
ハサミ男、驚愕のラスト
前々から気にはなっていたが、読んでいなかった殊能将之『ハサミ男』(講談社文庫)を読んだ。
-
-
ブックストア談 浜松町店
浜松町の貿易センタービル別館2Fに「ブックストア談 浜松町店」という書店がある。 ミャンマーから
-
-
私にとって最大最後の秘境はアメリカ
webマガジン幻冬舎で依頼募集中の「メモリークエスト2」更新。 新たな依頼になぜか自分のアメリカ音痴
- PREV :
- エンタメノンフ的野球論
- NEXT :
- 狂言


