*

エンタメノンフ的野球論

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


野村克也『あぁ、監督』(角川Oneテーマ21)

近年、二度目のブームを迎えている野村監督が
ボヤキ口調で歴代および現在の監督をめったぎりにする。
例えば古田が監督に失敗した原因の一つは自己中心的なところだとし、
「周囲に対する感謝の心が足りない。私に年賀状一枚送ってこないところが
それを象徴している」そうである。
さらにあとがきでも「古田の人間教育には失敗した」と書き、
ほんとうに古田とは仲が悪いんだなあと感じさせる。
いっぽう、野村監督に代表される日本独特の緻密でせこせこした野球が
意外にもブレイザーやスペンサーといった外国人からもたらされた
という話には驚いた。
野村監督が現役の頃まで、日本の野球はものすごく大雑把まものだったらしい。
つまり今言われている「日本野球」は実は「アメリカン・ベースボール」だったというわけで、
思い込みというのは恐ろしいもんである。
笑えてためになるエンタメノンフ的野球論である。

関連記事

no image

怪獣奇書、出版したい人は手をあげて!

昨日、トルコの怪獣についての奇書を紹介したら 「その本が読みたい」というコメントがあった。 私も実は

記事を読む

no image

となりのツキノワグマ

ツバルが沈まなくて驚いたばかりだが、 またしても環境問題の常識が覆される本を見つけた。 宮崎学『と

記事を読む

no image

腰痛探検家

11月に集英社文庫から刊行予定の『腰痛探検家』のゲラが出たので、 久しぶりに読み返したところ… あま

記事を読む

no image

人間失格+坊ちゃん=三畳記

「SPA!」のインタビュー記事「エッジな人々」が掲載される。 「見ましたよ、エッチな人々!」と何人か

記事を読む

no image

「占い」と「UFO」収録

雪の東京へ出て大阪のスタジオ収録へ。 箱根を越えたら雪などまったく降ってないのでちょっと驚く。 今回

記事を読む

no image

「自分の枠」と「屠畜感覚」

先日コダックフォトサロンで行った角田光代さんとの対談が 講談社の文庫情報誌「IN☆POCKET」に掲

記事を読む

no image

マイブームじゃなかった…

依然としてマイ・ブームとして続いている「自閉症モノ」、 3冊目に読んだやはり泉流星の『僕の妻はエイリ

記事を読む

no image

2007年に読んだ本ベスト10(ノンフィクション部門)

明けましておめでとうございます。 遅ればせながら2007年に読んだ本ベストテン(ノンフィクション部門

記事を読む

no image

尼僧が行く!

誰か人を別の人に紹介するのがとても好きである。 昔から、自分には彼女がいないのに、友人に女の子を紹

記事を読む

no image

無許可チムスルウォンとは何か

『腰痛探検家』の韓国語版(パク・スンヒ訳、Bookie出版)が刊行されたらしい。 韓国で本を読

記事を読む

Comment

  1. アジケト より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; GTB5; .NET CLR 2.0.50727)
    最近は嫌味にも丸みが出て味になって来ている野村監督ですが、
    彼が人間性うんぬんを語るのだけは看過できません。
    ヴェルディのラモス元常務が、選手の心がけについて語るのと同様に。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年10月
     12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
PAGE TOP ↑