今更アニー・プルーの衝撃
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
この前、マイクと話していたとき、「アニー・プルーがいい」と言っていた。
私も十年以上も前、まだ早稲田に住んでいたころ、アニー・プルーの『港湾ニュース』(集英社)を読んだことがあるが、とても面白かったという漠然とした記憶しかない。
なので、その後に書かれ、文庫になっていた『ブロークバック・マウンテン』(集英社文庫)をごく軽い気持ちで読んでみたら、仰天した。
60年代アメリカ西部におけるゲイの悲劇、とあらすじを言えばそうなるのだが、
そんなストーリー以前に文章が凄い。
ハードボイルドとガルシア=マルケスが合体したような、無骨で無慈悲で、でも伝奇的な魔力のある文体で、
いったん読み出すと、どんなに場面が悲惨でも目を離すことができない。
思わず、読み終えた瞬間に冒頭に戻り、また読み返してしまった。
ピューリツァ賞と全米図書賞を受賞している現代アメリカを代表する作家で、
しかも自分も10年も前に読んだことがあるのに今さらだが、
いや、まいった。
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