*

ノルウェー弾丸ツアー

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

IMG_6792(2)
日曜日に出て土曜日にに戻るという、私にとっては「弾丸ツアー」でノルウェーに行ってきた。
目的は以前、モガディショで世話になったハムディに会いに行くこと。
彼女に頼まれて日本に呼ぶ算段をしていたら、突然ノルウェーに行ってしまった。
一体なにが起きたのか訊いてみたかったこと、それにソマリ語会話を半年間やらないと、激しい「飢え」に襲われること、
さらに福祉国家と言われる北欧でのソマリ・コミュを見てみたかったことが理由だ。

これまで準戦地とでも言うべきソマリアでしか会ったことがない彼女を北欧の国で見るのは変な気がしたが、モガディショと全く同じようにファッショナブルだったし
言葉も全くわからないのに、相変わらず、堂々と立ち振る舞っていた。
「ここは平和だけど、それだけ。あとはみんなモガディショのほうがいい」とのこと。
ノルウェーに移住した動機はなかなか興味深く、「ふーん…」とまた新たなソマリの一面を知る思いだった。

IMG_6678(2)

ソマリ・コミュは想像以上に大きかった。
ノルウェーの全人口が400万人しかいないのに、ソマリ人が3万人もいるという。
しかもその大半が、人口約60万人とほぼ八王子市と同じ規模の首都オスロに住んでいる。
街の中央部には「リトル・モガディショ」とも称されるソマリ人街があり、
どこを見渡してもソマリ人。
彼らはソマリ人のレストランでソマリ料理を食べ、平日の昼間からソマリ人のカフェで仲間と延々とおしゃべりをし、
路上の売人からカートを買っては家に持ち帰って仲間と一緒に食べている。
(ヨーロッパではイギリスとオランダ以外、カートは違法。ノルウェーも例外ではないが、私の見たところノルウェー当局は
あえて厳しい取り締まりを行ってないようだった)
ソマリ人は、ハルゲイサでもモガディショでもロンドンでもオスロでも、世界中どこでも同じ生活パターンで生きているのだろう。

当然のことながら、私もそのサイクルにはまっていたわけだ。
IMG_6869(2)
地元の若者たちとオスロの名物であるらしいオペラハウスのスロープ状の屋根に登ったりもした。

帰りにハルゲイサかモガディショに寄りたい!という強い衝動に襲われたが、タイ行きが間近に迫っているためそうもいかず、
(というか、そんなチケットは持ってないし)
名残惜しく帰ってきた。次のソマリ世界への旅は11月、ソマリランドの予定である。

関連記事

no image

なぜ北欧人は放射能を恐れてヒロシマに逃げるのか

もはや日記代わりなので、ここにどんどん書く。 29日(火)、「おとなの週末」で連載している「移民の宴

記事を読む

no image

ハサミ男、驚愕のラスト

前々から気にはなっていたが、読んでいなかった殊能将之『ハサミ男』(講談社文庫)を読んだ。

記事を読む

カーンとハーン

「すごくおもしろそう」と妻が買ってきたインド映画「マイネーム・イズ・ハーン」。  DVDの表紙を見

記事を読む

no image

エンタメ・ノンフ・インタビュー

最近、加速的に「エンタメ・ノンフィクション」の普及が進んでいる。 今度は、「図書新聞」でインタビュー

記事を読む

no image

ワット・パクナム日本別院

「おとなの週末」で始まる連載記事の取材で、 成田にあるタイ寺院「ワット・パクナム日本別院」を訪ねた。

記事を読む

no image

罠、二つ

「Amazon.co.jpで、以前に××の本をチェックされた方に、このご案内をお送りしています」と

記事を読む

no image

『怪獣記』がいよいよ…

トルコの怪獣ジャナワール探しの本がようやく手を離れた。 写真にカラーとモノクロがあり、しかも章ごと

記事を読む

no image

また未知動物

磯崎憲一郎の第二弾、『世紀の発見』(河出書房新社)。 帯の惹句によれば 「ガルシア=マルケス『百年

記事を読む

no image

野球選手じゃなくてよかったという話だ

珍しく夕方家にいたので、テレビでドラフトを見ていた。 指名された選手は、斉藤、大石、沢村のビッグ3以

記事を読む

no image

後輩がアジア大会で銅メダル

早大探検部の後輩・角幡唯介の『空白の五マイル』(集英社)が売れている。 アマゾンでは、発売から半月

記事を読む

Comment

  1. 夕立 より:

    月刊誌 8月号正論に、謎の独立国家ソマリランドの書評が掲載されていました。書評子いわく、面白すぎて時々不安になるのが、唯一の欠点だとか。
    素直に面白いと言えばいいのに。

    • 高野秀行 より:

      お知らせをありがとうございます。
      私も「正論」の書評を読んでみましたが、なぜ不安になるのかわからないですね。
      もしかして、「ここに書かれているのは本当のことなのか?」と思って不安になるんでしょうか。
      それなら杞憂なのですが。

  2. taka より:

    モガディショで、あんなに生き生きしていたハムディが、”移住” するとは・・。やはり、動機を知りたいところです。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • RT : 東京・銀座にあった、木彫の猫たちの楽園。毛の質感や体の柔軟さまでが表現されていて、ちょっとびっくり。三重県北部いなべ市の古民家在住のアーティスト、はしもとみおさんの作品展。中央通りに面した田中貴金属本店6階ホールにて。 https://t.co… ReplyRetweetFavorite
    • らしいとか、女優が映画館で前の座席に足を投げ出して観ているんだけど、その足裏が汚いとか、ブラピが銃のホルスターに缶ビールを2本指して屋根のアンテナ修理をするシーンが意味もなくカッコイイとか、夢中で喋ってしまった。二人の結論→「タランティーノは天才」。 ReplyRetweetFavorite
    • 映画監督の友人に電話し「ワンスアポンナタイムインハリウッド(略称ワンハリ)」話で盛り上がる。ブラピがなぜかブルース・リーをカンフーでぶちのめすとか、スティーブ・マックイーンでなくディカプリオが主人公を演じている「大脱走」のシーンとか、ブラピが犬にあげる缶詰がネズミやアライグマの肉 ReplyRetweetFavorite
    • 納豆で言えば、マイルドに熟成された感じ。 ReplyRetweetFavorite
    • 以前のタランティーノ作品特有のインパクトは薄くて、でもいつまでも観ていたいという温泉的気分だった。 ReplyRetweetFavorite
    • タランティーノ監督の新作「ワンスアポンナタイムインハリウッド」を観た。最初の感想は、ブラピカッコいい、ディカプリオおもろい。 ReplyRetweetFavorite
    • このワンコ、私にも熱心に喋ってたなあ。 https://t.co/7P0eqU9oY8 ReplyRetweetFavorite
  • 2019年9月
    « 3月    
     1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30  
PAGE TOP ↑