在日外国人支援ボランティア
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
世界中の人たちに二十五年もお世話になりつづけている。
そろそろ何か恩返しをしなければと思い、
在日アジア、アフリカ、南米人の手助けをしとうと思い立った。
早い話が、仕事と関係のないボランティアをしたいのだ。
しかし、そういう人たちが今どんな状況にあるのか
よくわからない。
いったい何が困っていることなのかを知るために
昔、アジア系多国籍新聞社で一緒に仕事をしており
現在はNPO在日外国人情報センターを運営している小池昌氏にお話を聞きに行った。
で、いろいろ聞いた結果、
在日外国人がいちばん必要としているのは、
「日本人からの理解」だということだった。
一般の日本人は在日外国人がどこでどういう生活をして
なにを考えているのか、てんで知らない。
例えば、外国人参政権のことが話題になっているが、
当の外国人が参政権を欲しているかどうか
調査もされていないのが実情だという。
それも知らないのに、「日本は外国人に好きなように操られている」なんて誤解が
まかり通ったりする。
そういうことで、外国人の人たちは著しく迷惑を受けている。
また、根本的なことだが、
大多数の非先進国系在日外国人は、「日本がすごく好き」だという。
世界中の数多ある国からわざわざ日本を選び、定住し、多くは「もっと長くいたい」と思っている。
仕事があるだけでなく、治安がよく、人が親切で、文化が豊かな国だと認識している。
例えば、最近小池さんたちが行った在日フィリピン人のアンケートでは
「愛着をもつ場所は?」という質問に対し、
母国フィリピンと日本ではあまり数字が変わらない。
そして、その二つより「今(日本で)住んでいる町」と答えた人がずっと多かった。
つまり、気持ちとしては、ふつうの日本人と変わらないのである。
結局、そういうことを取材して、雑誌や本に書き、広く世間に知らしめることが
なにより重要だと小池さんは言う。
驚いたことに、私本来の仕事がいちばん必要とされているらしい。
今まで他のライターやジャーナリストがそういうことをやってこなかったのは
時間と労力ばかりかかってカネにならないからだろう。
ということなので、これから地道に取材をしていくことにした。
あくまでボランティアとして。
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ありがとうございます。
私の夫は外国人なので、
今すごくウレシイ気持ちでいっぱいです。
よろしくお願いします(笑)
じゃなくて!
あたらしいテーマの本も、読ませてもらうの楽しみにしています。
AGENT: DoCoMo/2.0 F08A3(c500;TB;W30H20)
少し想像力を働かせれば、在日外国人が一番困っているのは確かに日本人の無理解だと思います。
少し違う話ですが、週末に新宿に行くと、ガーナ人が駅前で寄付を呼びかけているのですが、目の前の喫煙所で見ているとなかなか日本人が立ち止まりません。黒人のNGOというだけで疑ってしまう人が多いのかも知れません。(信用できるかを調べたわけではありませんが)
隣に日本人がいるだけで信用力が全然違うのだろうなと思います。またガーナ人の女の子が17才と聞いて何か手は無いだろうかと思案してる所であります。