激走!鈴鹿8時間耐久ちゃりんこ
公開日:
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最終更新日:2012/05/25
無茶旅行
締切やら、ラフ制作やら、未収の取り立てやらに追われ、あっという間に11月が終わってしまった。よく「会社は3年持てば大丈夫」などという人がいるが、あれは3年も経つといろんなしわ寄せが襲ってくるということなのだろう。果たしてその通りの丸3年(10/29)経過であった。ひとまず、見通しが相当明るくなったので、やっと11月を振り返る。
11月4日(日)、私はワタル2号(注)と共に鈴鹿のサーキットにいた。
注.高野さんと自転車旅をする道中に名付けられた私の自転車名。
それを遡ること数か月前、奥沢のショット・バー“O’s nest(オーズネスト)”のマスター喜多さんより電話がかかる。
喜多「ああ、渡さんどうも」
私 「どーも、喜多さん、なかなか顔出せなくてごめんなさい」
喜多「いやいや大丈夫です。ところで渡さん、自転車好きですよね(唐突)」
私 「ええ、まあ…(今年の2月に四国〜九州走ったし)」
<ちょっと間が空く>
喜多「あの、鈴鹿8耐に自転車で出ませんか?」
私 「へっ?・・・。」
あまりにアホな企画すぎて言葉に詰まったが、2秒後には「もちろんです」と答えていた。今まで幾多のユニークな企画を常連客とこなしてきたオーズネストも、いよいよ鈴鹿を貸しきるところまで来ていたとは…と、ここしばらく顔を出していない間の変わりように、ただただ驚くばかりだったが、
「いやあ、そういうアホな企画をやっている人がいるらしいんで、僕らも出てみようかと思いまして…」
流石は上には上がいた。
スズカ8時間エンデューロと名前のついたこのイベント、なんと今年で8回目を数え、真面目に自転車レースをやっているチームなんかを招待選手として招いている、きちんとしたレースなのである。
しかし、他人の企画へ普通に参加する様な団体ではなかった。
レース前日、店の前に集合すると、そこには50人乗りの大型バスが停まっていた。
しかも出発後すぐにビールが入り、サービスエリア毎ほぼ各駅停車の旅になった。
昼を過ぎてもまだ御殿場。夕方6時にやっとこさ鈴鹿の宿へ到着、もちろん到着後も浴びるように飲む。
翌朝5時、鈴鹿サーキットに到着すると、入口にはチャリンコを積んだ車と、現地集合のチャリダーだらけ。ただし大型バスで乗り付けてるバカは我々だけだった。車内や下のトランクから15台近い自転車をおろす。この段階で、車内には十分やり遂げた感が漂っていたが、主催者に促されるままコースへ試走に出かけると、スタート前に脱落しそうな人も出始める。
8時、乾いたピストルの空砲が青空に響くと、怒濤の8時間が始まった。
ここでレースについて少しだけ説明しておく。
F1が300キロを超える速度で走るコースを、本当に自転車で走る。1周は約5.8キロ。ただし、F1とは逆回りに走るので、ピット前の下りバックストレートが、だらだら上り坂となり腹立たしいことこの上ない。チームのタイムトライアル、個人トライアル、チームでリレーしながら走るエンデューロ、2人チームで走るトロッフェ・バラッキ等、応募のクラスも沢山あり、また8時間以外にも3時間や4時間など、土日の2日間にわたって、様々なランク・クラスが用意されている。
我々がエントリーした8時間エンデューロには、ロード用の自転車で走るクラスと、マウンテンバイクやママチャリでの参加もOKなオープンクラスがある。私は、村田さん、木村さん、道明さんの男ばっかり4人のチームの3番走者だった。
「まずは、1人1周で様子を見ていきましょう。」
という方針のもと、木村さんから計測用のタグを引継ぎピットをでる。F1なら「シケインを抜けると後は下り坂のバックストレート!」だが、逆走なので「いきなりシケインまで上り坂!」になってしまいかなりキツイ。しかも目の前にママチャリ漕いでる着ぐるみのトナカイや、鎧甲冑のマウンテンバイクがいる。その先には息の上がった黄レンジャーもいた。もうワケが分からない。
何とかシケインを抜けると、広々とした道をひたすら走る。調子に乗ってハイスピードでぶっ飛ばしていたら、さらにすごいスピードで招待選手の一群が追い抜いていった。こっちのメーターは40km/h近いのに…である。
上り坂のスプーンカーブを越えると、名物のヘアピンカーブが見えてきた。ツール・ド・フランスのアルプス越えみたいにガッツリとコーナーへ突っこんでやろうかと試みたが、タイヤのグリップが利かなくてふくれてしまう。続くテグナー・カーブの手前で最高時速55キロを記録。前をかっ飛んでいた超速ロードレーサーの後ろに引っ付き偽スリップストリームを体感。しかしスタミナ不足がたたって、カーブを抜けるとジワジワおいていかれてしまう。ダンロップ・カーブまでのやや登りをこなすと、後はひたすら下る。下る。下る。
第2コーナー、第1コーナーを走りきって、ピット前のロングストレート(ず〜っと登り)で、がくっと減速。ホントに辛い。
走る前は「やー、元気があったら1時間くらい走ってみますよ」なんてうっかり言ってしまったが、もう全然ムリなので左にそれてピットへ向かった。
道明さんに無事タグを渡して時計を見ると周回ラップ9’30。
当然、これを上回ることはそれ以後一度もなく、後半はトナカイや落武者と同じ様に、ひーひーぜーぜーしながら、何とか交代で4時まで走りきった。
ちなみに、最後の最後、道明さんに繋ごうと第1コーナーを抜けるとピットはすでに閉鎖され、残り時間は後5分。
無情のラストラン(あと1周)が追加された。
(写真はゴール前ラストラン追加の瞬間。温かくもう1周見送ってくれる(?)オーズネストの常連のみなさん)
教訓、赤信号は偉大です。
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Comment
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普段、体動かしてないのに(胃は別)
無茶しますね〜
無理は良いけど、無茶は・・・・・
翌日とか無事でしたか?
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え、太郎さんから「無茶は…」なんてコメントが出るとは。。。
ちなみに、バスは日曜の夜1時頃自由が丘に戻ってきまして、鈴鹿の勢いのままワタル2号で調布まで帰りました。
翌日、意外と平気でしたよ。
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うーん、日本は無茶をする人が多いのか
渡さん周辺の人がそうなのか?
脱帽!!
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ボクは、独立して事業が3年たって「見通しが相当明るくなったので」というところに反応してしまいました。がんばってますね。
ウチは、まだまだです。記事をみていると、自転車操業の辛さを想起してしまいます。
赤信号は偉大です!、と言えるのも勢いがあるからかな。