*

イラクからブータンの週末

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

土曜日、新宿二丁目の「タイニイアリス」という小劇場に、イラクの劇団「ムスタヒール」を見に行く。
テーマは、拷問や人権侵害で有名なアブグレイブ刑務所。
観客30人足らずの小劇場は、学生時代、フランス語を習っていたシルヴィの「舞踏」を見に行って以来だったが、なんとしたことか、イラクの芝居も無言の前衛劇で、
雰囲気もシルヴィの舞踏そっくり。当然理解不能。
それも驚いたが、観客の人たちが口々に「感動した」「身に迫った」と賛辞を述べていたのにも驚いた。
みんな、ほんとうにそう思ったのだろうか。
日曜日、日本ブータン交流協会主催の「ブータン新年会」。
2月14日はブータンの新年にあたるそうである。
今までブータン人といえば、留学生の女の子一人にしか会ったことがなかったので
楽しみにしていたのだが、行ってみればブータンの人たちはとても初めてとは思えない面々。
タイやミャンマー、あるいはその少数民族の人たちとちがいを見つけるのが難しい。
ただ、ひとつ大きな特徴としては、ブータンの男性はとても女性が好きだということ。
4分の3は男性だったのだが、彼らはみんな、若い(もしくは「比較的若そうな」)日本人女性に向かう傾向があり、
私が話しかけてもすぐ逃げてしまい、はなかなか相手にしてもらえなかった。
だからというわけではないが(別の事情で)、私は二次会を先に失礼したのだが、
最後までいた妻に聞いたら、私も挨拶をしたブータン人の男子に、
「ダンナさん、先に帰ったの? 今晩、うちに来ない?」と誘われたという。
むうう。さすが「夜這い大国」なだけある。

関連記事

no image

南米の超古代文明!?

日本唯一、世界でも二人しかいない「カーニバル評論家」で、 『カーニバルの誘惑−−ラテンアメリカ祝祭

記事を読む

no image

「アジワン」発売!

妻・片野ゆかの新刊が発売された。 小学館ノンフィクション大賞受賞第一作は、超脱力フォトエッセイ「アジ

記事を読む

no image

「野々村荘」にほんとに復帰

ワセダの「野々村荘」(仮名です、念のため)の部屋が空き、 ちゃぶ台をもって初めて行ってみた。 アパー

記事を読む

no image

難病のソナタ

大事なことを忘れていた。 「困ってる人」第12回「わたし、生きたい(かも)」が更新された。 難病女子

記事を読む

no image

「野々村荘」は今…

なんと約7年ぶりに、『ワセダ三畳青春記』の舞台である「野々村荘」を訪問、後輩の「中江」とともに大家の

記事を読む

no image

インド入国(たぶん)OK!

ほぼ三週間ぶりの更新だ。 ずいぶんといろいろなことがあった。 なかでも特筆することが二つある。両方と

記事を読む

no image

『腰痛探検家』&『空白の5マイル』発売

早大探検部の後輩で、今年開高健ノンフィクション賞を受賞した 角幡唯介『空白の五マイル』(集英社)が

記事を読む

no image

タマキングにカヌーを習う

先週の金曜日、またしてもタマキング(宮田珠己)と一緒に川へ出かけた。 私は来年初めにメコン川を二ヶ月

記事を読む

no image

もう10月

いつの間にか10月になっていた。 先月読んだ本の中から面白いものをまとめて紹介しよう。 吉田誠一『ヨ

記事を読む

最近であった美味いもの・その1と2

最近、出会った美味いものを思いつきで並べてみたい。 その1、福井県の銘酒「花垣」、しかも純

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

PREV :
熟成
NEXT :
日本の冬
no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑