*

早稲田についての質問は困る

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

「早稲田」についての記事をつくっている毎日新聞の記者の人から取材を受ける。
その記者さんの話では、今現役の学生の間で『ワセダ三畳』がえらい人気なのだという。
彼らと一緒に「野々村荘」(仮名)に行き、大家のおばちゃんとも会ったらしいが、
学生たちは携帯でアパートの写真を撮ったり、おばちゃんと握手したりして大喜びだったそうだ。
「おばちゃんはまるでアイドルのようだった」とか。
で、「今の早稲田の学生は高野さんのころとどうちがうか」とか「どうしてワセダ三畳が
そんなに今の学生に受けていると思うか」という質問を受けたのだが、
「今の学生は昔より礼儀正しい」みたいなとんちんかんな答えしか返せなくて無念だ。
この手の質問がいちばん難しくて困る。
ワセダ三畳が受けている理由は
「おばちゃんが素敵だ」という以外よくわからないが、
一つ思い当たるのは、私があの本で書いたのは「バカではあるがバンカラではない」
ということかもしれない。
「ハチャメチャだがマイペース」という言い方もできる。
飲み屋でどんちゃん騒いだり、議論を戦わせた挙句喧嘩になったり
積極的に女子にアタックするようなシーンは皆無だし、
どこか草食系を先取りしている感もある。
そこが今の学生たちにも受け入れられる余地となっているんじゃないか。
…てなことを思いついたのだが、そのときは取材からすでに数時間がすぎていた。
あらためて無念。
       ☆         ☆        ☆
内澤旬子副部長に紹介してもらったレストランで、
ハシブトガラスの肉を食べる。
北海道帯広でとれた野生の健康なカラスというだけあり美味。
レバーに良く似た苦味のような後味と旨みがあって不思議だった。

関連記事

no image

怪獣奇書、出版したい人は手をあげて!

昨日、トルコの怪獣についての奇書を紹介したら 「その本が読みたい」というコメントがあった。 私も実は

記事を読む

黒豆納豆のアボガド・サラダ

今日届いた納豆セットのうち、たった一つだけ入っていた黒豆納豆「光黒」を使ってさっそく料理。

記事を読む

no image

帰国&新刊「アスクル」

さっき帰国した。 これで年内は長期で出かけることはなく、おとなしくしていることと思う。 年明けには一

記事を読む

no image

井原美紀さんと対談

井原美紀という作家さんと対談を行った。 小説すばる9月号の「旅」特集の目玉(?)である。 彼女は「

記事を読む

no image

天国再訪

東京はたいへん暑いそうだが、チェンマイは依然として涼しい。 ふと、思い立ち、6,7年ぶりにチ

記事を読む

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。 ふつう、文庫化といえば、単

記事を読む

no image

まだやる気なのか?

集英社に行き、ムベンベ映画化を目論む映画監督アベ・ユーイチ氏とプロデューサーでネルケピクチャーズ役員

記事を読む

no image

火サスの人

妻・片野ゆかが小学館ノンフィクション大賞を受賞、その授賞式兼パーティに行ってきた。 日比谷の東京会館

記事を読む

no image

「同志」タマキンさんに会う!

宮田珠己ことタマキング(逆か)と会う。 タマキンさんの『52%調子のいい旅』が幻冬舎文庫から出ること

記事を読む

no image

大久保小学校に未来をみた

今週も忙しいような、ぼんやりしていたような、なんとも言えない気分のまま過ぎた。 印象に残ったのは、

記事を読む

Comment

  1. めこん より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.1; ja; rv:1.9.2.3) Gecko/20100401 Firefox/3.6.3
    ハシブトガラスの肉を食べてみたいと思います。
    よければそのレストラン名を教えていただけないでしょうか。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年5月
    « 3月    
     12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
PAGE TOP ↑