*

今度はサハラかよ

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


久々に帰国して、待っていたのは書かねばならない原稿の山。
まずまっさきにとりかかったのはサハラ・マラソンである。
ブータン出発前に片付けようと思っていたが、できなかったのだ。
そのツケがちゃんとまわってきた。
だが、しかし。
ブータンとバンコクでもギャップがありすぎて辛いのに、
サハラ砂漠の難民キャンプでのマラソン大会の話である。
ブータンが寒くて、高所で、雨ばかりで、住民は仏教徒のアジア人だったのに対し、
こっちは熱くて、どこまでも平地で、乾燥しきっていて、
住民はイスラム教徒のアフリカ人。
あまりにも対照的で
頭の切り替えが大変むずかしい。
あーあ、やっぱり無理してもブータン出発前に書き上げておくべきだった。
売れている小説家は時代小説と現代ミステリと純愛小説と超バイオレンス・ハードボイルドを同時並行で書けるらしいが、まったく信じがたい話だ。
それでも頑張ってサハラの話を書いている。
今はやっとマラソンのスタート地点に立ったところ。
梅雨っぽい雨を見ながら、懸命に砂の感触を思い出している。
まったく私はいったい何をやってるんだろうか。
(写真:レースの翌日、スペイン国籍のバスク人ランナーと記念写真を撮ったわたし)

関連記事

no image

このくだらない本がすごい!

正月早々、高橋秀実『はい、泳げません』(新潮社、現在は文庫も出ている)を再読。 超カナヅチの秀実さ

記事を読む

no image

皇太子にアシストしたらベンツ

サッカーは特に好きでもないのに、サッカー本は好きだ。 とくに非西欧のサッカー事情はひじょうに食欲を

記事を読む

no image

これが例の葉っぱ

ソマリランドに「帰国」してもう10日近く経つ。 「帰国」なんて言葉を使ったのが行けなかったのか、今

記事を読む

no image

南米の超古代文明!?

日本唯一、世界でも二人しかいない「カーニバル評論家」で、 『カーニバルの誘惑−−ラテンアメリカ祝祭

記事を読む

no image

エンタメ・ノンフ座談会

火曜日、『本の雑誌』の特集で座談会に参加。 テーマは「緊急座談会 エンタメ・ノンフの棚を作れ」。 私

記事を読む

no image

名画と辺境

半分壊れたパソコンを辛抱して使っていたが、 この度やっと新しいものを買った。 今度は奮発してDVD

記事を読む

no image

驚愕必至!

「おとなの週末」5月号が発売された。 この雑誌は実に読み応えがあるのだが、私がいちばん気に入ってい

記事を読む

no image

明日発売!

あっという間に日本の生活に戻り、 探しモノに狂奔していた日々が夢のようだが、 眠ると、毎回私はヨーロ

記事を読む

no image

難病のソナタ

大事なことを忘れていた。 「困ってる人」第12回「わたし、生きたい(かも)」が更新された。 難病女子

記事を読む

no image

多忙につき山歩き

依然として超多忙なので、 平日に探検部時代の後輩2人と「秘境ツアー」にいく。 三人とも当然、フリーか

記事を読む

Comment

  1. しゅん より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    ここ数年で高野秀行ファンになった26歳男、です。とりあえず文庫本で読める本は全部購入しました。これからは単行本をおいかけます。
    そして、ブータンやサハラマラソンなどを読めるんですね!楽しみです!

  2. 珠cha より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB5; .NET CLR 1.1.4322)
    サハラマラソンの本も、ブータンの本も、必ず必ず購入しますので、ぜひ、脱線することなく書き上げてください。
    もう、高野さんの本がなくて、退屈しまくってますよぉ〜。2度、3度読むと、洗脳されちゃいそうだし・・・。葛藤と闘い中。

  3. KF より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 N702iD(c100;TB;W24H12)
    脱線してもいいので倦むことなく筆を進めてくだせい。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑