R-40本屋さん大賞ノンフィクション・エッセイ部門で1位(改訂版)
公開日:
:
最終更新日:2013/08/28
高野秀行の【非】日常模様
ワンテンポもツーテンポも遅れてしまったが、一昨日発売の「週刊文春」誌上で発表された
「R-40本屋さん大賞」なる賞がある。
全国の四十歳以上の書店員さんにアンケートを行い、この一年間でいちばん面白かった本を選ぶというものらしい。
そのノンフィクション・エッセイ部門で、『謎の独立国家ソマリランド』がなんと1位に選ばれた。
私の本が何かのベストテンで1位になったのは初めて。
これまでは本の雑誌の年間ベストテンでたしか『怪獣記』が6位か7位になったのが最高位だ。
その翌年、同じく本の雑誌年間ベストテンで『アジア新聞屋台村』がランクインした。
両方とも杉江さんが強くプッシュしてくれたためだ。当時私たちは面識がなかった。
実は今回、『謎の独立国家ソマリランド』を本の雑誌社から出したことをとても後悔していた。
なぜなら、本の雑誌社年間ベストテン1位をとれないからだ。さすがに自社本1位はありえないだろう。
そう杉江さんに言ったら、彼は珍しく大声で怒鳴った。
「志が低い!!」
いや、年間ベストテン1位で私の本がとれそうなのは、本の雑誌社選定のものくらいだと思ったからだが、
それがそもそも志が低い、というか「せこい」ということなのだろう。
そうか、と私も思ったのである。
年間ベスト1位がどうのとか、そういうことを考えて一喜一憂すること自体が低俗であり、
志が低いのである。要は書いた本が面白いかどうかなのだから。
と、思っていたので、R-40本屋さん大賞受賞(もしくは1位)の知らせが来たときも、
私は「へえ、そうなんだ」と落ち着いていたが、それを杉江さんに伝えたら、
「おおおおおお、やった!!!!!! 1位ですよ、1位!!!!」と超興奮した返事がかえってきた。
すんげえ、喜んでるがな…。
自分たちはしょっちゅう1位を選んでおきながら、選ばれることには不慣れなのだ。
杉江さんが喜んでくれたことで私も嬉しくなり、「志」の件はひとまず棚上げすることにした。
ともあれ、よくこんな厚くて値段も高い本を選んでくれたものだと投票してくださった書店員さんに感謝である。
担当の杉江さんは、今、講談社ノンフィクション賞受賞と本屋さん大賞1位をでかでかと記した帯を
作成中だという。来週には書店にお目見えするそうなので、とても楽しみだ。
今日は朝から土砂降りだが、これからチェンマイに戻ります。
関連記事
-
『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます
6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。 ふつう、文庫化といえば、単
-
『困ってるひと』ついに発売
大野更紗『困ってるひと』(ポプラ社)がついに発売となった。 今アマゾンで見たら、180位である。
-
ペルシア猫を誰も知らない
イランのクルド人監督バフマン・ゴバディの『ペルシア猫を誰も知らない』を渋谷ユーロスペースで見た。
-
酔って記憶をなくします
野宿泥酔の翌日は二日酔いにもならず、心身とも妙に快調。 そして翌々日、つまり今日も絶好調。 身体か
-
タイ北部最大の市場…なんてあったのか
全然知らなかったが、チェンマイ郊外にタイ北部最大の市場(七日市)があり、 友だちに連れて行って
-
もう一人の「高野秀行」との出会い
ご存知の方も多いと思うが、将棋の棋士に私と同姓同名の「高野秀行五段」という人物がいる。 ネットで「高
-
ニュースゼロ&イベント&アスクル
まずはお知らせから。 明日、日本テレビのニュースゼロで、私の知り合いのフリージャーナリスト、 大津司
-
早大探検部バカ50周年記念
早稲田大学探検部が今年で創立50周年を迎える。 本当ならば、ライバル視していた(向こうは屁とも思って
- PREV :
- お礼申し上げます
- NEXT :
- タイ北部最大の市場…なんてあったのか