アブディン(マフディ)結婚
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
古い友人で、スーダンから来た盲目の留学生のアブディンが
このほどめでたく結婚し、私もお披露目のパーティに出席した。
奥さんは同じスーダンの首都ハルトゥームで国語(アラビア語)の先生をしていた
アワーティフさん。
先月、日本にやってきたばかり。
彼女は出席者全員(おそらく20人以上)分の料理をひとりで作り、
それがどれもこれもめちゃくちゃ美味いし、
かわいらしくて気さくで、しかもしっかり者のオーラを存分に放っていた。
「彼女は11人兄弟の長女で、今まで十人の弟妹の面倒を看ていたから
僕が人の十倍手がかかるとしてもだいじょうぶ」
アブディンはそう偉そうに言いながらも、しっかりとアワーティフさんの
手を握っているのだった。
思えば、アブディンとは一緒に野球を見に行ったり、
タンデムの自転車で葛西臨海公園まで走って焼肉を食ったり、
ブラインドサッカーにこじつけてギリシアや韓国まで出かけて、
夜遊びをしたり、まあ、
ずいぶん暇に任せていろんなことをしたが、
それももう打ち止めということだろう。
8年前にはがりがりにやせた青年だったアブディンが、
今ではすっかり「アラブのおっさん」という貫禄をかましている。
『異国トーキョー漂流記』のラストに登場する「マフディ」というのが
このアブディンなのだが、それをあらためて読み返して、
「ああ、こいつがやっと結婚か。よかったな」となんだか親戚のおじさんになったような感想をいだいてしまうのだった。
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わぉ〜!!アブディンさん、ご結婚おめでとうございます。
本当に可愛らしい奥さんで、その横でニコニコのアブディンさんも
可愛らしいですっ。
私も勝手に親戚のおばさんのようにうれしくなってしまいました。
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うる覚えですいませんが、アブディンって「彼女は絶対可愛い子」とか言ってませんでしたっけ?(間違えてたらすいません。)
本当に可愛らしい奥さんで良かったですね。