*

未知動物より既知動物か

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


妻・片野ゆかの新刊『犬部!』がスゴイことになっている。
発売からまだ2ヵ月経ってないのに、もう4刷り。
朝日、読売、東京新聞、週刊ポストなど、書評でばんばん紹介され、
帯も新しくなった。
私の単行本は最高で2刷、しかも半年かけてやっとである。
残念ながら日本では、未知動物より既知動物のほうが一般受けするということだろう。
本なんて売れないものだと思っていたが、こんな不況でさえ売れるものは売れるんだなあ
と感嘆する。
さらに、漫画化、映画化、テレビドラマ化のオファーもじゃんじゃん来ているらしい。
最近、妻はちょくちょくどこかの漫画編集者や映画プロデューサーやらと
打ち合わせに出かけている。
ずいぶんと忙しそうなので、
「いっそのこと、俺がマネージャーとしてお手伝いするよ」と申し出たのだが、
「いらない。あんたは自分の仕事をしなさい」と却下された。
うちは「完全独立採算制」で、生活費はすべて割り勘。
妻の本がどんなに売れても私はいっこうに潤わない。
だからマネージャーとして潤いたいと思ったのだが…。
その彼女は今朝インドに旅立ってしまった。
3週間もひとりでインド各地の犬を見て回るのだという。
「インドを一人でだいじょうぶなの?」と訊いたら、
「唯一の心配は夫が高野秀行だからってインド入国を拒否されること」だと言っていた。
インドのイミグレでは父親と夫の名前もチェックするのである。
健闘を祈る。

関連記事

no image

生物「超」多様性問題

探検部の後輩で今、テレビのディレクターをやっている男が生物多様性問題について取材をしているというので

記事を読む

no image

シンプルノットローファー

この前読んだ衿沢世衣子『ちづかマップ』が面白かったので、 ひきつづき同じ著者の『シンプルノットロー

記事を読む

no image

時差ボケが治らない

珍しく時差ぼけになり、それがちっとも治らない。 朝頑張って起きても昼過ぎに眠くなり午後爆睡。 で、

記事を読む

no image

『ワセダ1.5坪青春記』韓国でヒット中

ソウル・ショック第2弾は、私の本の韓国語版『ワセダ1.5坪青春記』が 発売たった2ヶ月で3刷りにな

記事を読む

no image

「またやぶけ」の発見

そうそう、肝心なことをすっかり忘れていた。 奄美で遊んでいるうちに、新刊『またやぶけの夕焼け』(集

記事を読む

no image

エンタメノンフ三銃士!!

びっくりした。 杉江さんの「炎の営業日誌」を見たら、 2月20日、ジュンク堂で「内澤旬子、高野秀行、

記事を読む

no image

あの素晴らしい旅行記をもう一度

なんとなく小島剛一著『トルコのもう一つの顔』(中公新書)を再読したが、 あらためて素晴らしい本だ。

記事を読む

no image

「困ってる人」書籍化プロジェクトX

私がプロデュースしている大野更紗「困ってるひと」の連載もそろそろ最終回近い。 いよいよ書籍化の相談を

記事を読む

no image

奇跡のリンゴ

ブームが過ぎたベストセラーほど、読む気にならない本もない。 でも今は在庫一掃読書。 石川拓治『奇跡

記事を読む

no image

完璧な探検記

 わけあって、今さらながらアルフレッド・ランシング著『エンデュアランス号漂流』(新潮文庫)を読んだ

記事を読む

Comment

  1. うに より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 N905imyu(c100;TB;W30H20)
    高野さんは、あのカルカッタから、インドに行ってないのですか?

  2. LP より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 F08A3(c500;TB;W30H20)
    犯罪者というより、テロリスト扱いですね。

  3. LP より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US) AppleWebKit/533.4 (KHTML, like Gecko) Chrome/5.0.375.55 Safari/533.4
    犬、猫ならともかく未知、既知で比較するのは、世界中で高野さんくらいじゃないでしょうか?

  4. ふーじ より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.2.3) Gecko/20100401 Firefox/3.6.3 (.NET CLR 3.5.30729)
    買ってみました。
    危うく徹夜しちゃうとこでした。犬部員凄いです。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2023年11月
    « 3月    
     12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    27282930  
PAGE TOP ↑