*

メールマガジンがスタート!

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

※このコラムは◆週間 辺境・探検・冒険ML MBEMBE ムベンベ Vo.2◆に掲載されたものです。購読希望の方は右のMail Magazineコーナーよりお申し込み下さい。
みなさん、はじめまして。
自称B級探検家、辺境探検作家の高野秀行です。
誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろおかしく書く。
それだけが生き甲斐のような妙な人生になっています。
今まであまりにとりとめのないことをやってきたから、何か話せばいいか…と思っていたら、いいものを発見しました。
ちょうど今出ている「ダカーポ」誌の読書欄(「旬の本」)。
私の新作『異国トーキョー漂流記』(集英社文庫)をコラムニスト・書評家の井家上隆幸氏が取り上げてくださってます。
なかなか褒めてくれてるし(書評なんだから当然だけど)、ちゃっかりこれを私の自己紹介に替えさせていただきます。
 子どもの頃から優等生路線を歩んできた自分にうんざりした大学2年生の高野秀行は、そういうくだらない人間を好むくだらない日本と一緒に自分を、水洗便所のウンコのようにジャーッと流してしまいたいと思った。
 
 そのレバーにあたるのが海外の旅だ。海外に飛び出せば、そのあとに美しく清らかな「新しい自分」が見つかるにちがいない。そうなれば「世界の真実」といったものが見えるにちがいないと思った。
 で、高野秀行は、インド、タイ、今後、アマゾン、中国、ビルマ(ミャンマー)ともっぱら世界の辺境を歩いた——といえば、体力勝負の冒険野郎と思うだろうが、この人、まことに用意周到でそのつどフランス語、リンガラ語、スペイン語、中国語、アラビア語と、新しい外国語を学ぶのだ。
 それも東京にやってきた、いうならば〈ヘンな外人〉たちから、である。彼や彼女たちから見た〈トーキョー〉は当然、誤解と勝手な解釈の産物なのだけれども、しかし、高野秀行も十分に〈ヘンな日本人〉であるから、その〈目〉に感応し、見慣れた〈東京〉を〈トーキョー〉として見る視点を感得するようになるのだ。
 『異国トーキョー漂流記』は、高野秀行が、日本人の目と、複眼で東京を見ることによって、〈日常〉の中にある「水洗便所のレバー」を発見していく冒険記である。リンガラ語を学んだザイール大使館の息子のウィリーの「僕は日本のマイケルジャクソンになるんだ」というノー天気さに、日本の女の子の黒人あこがれを重ね、コンゴから慶大大学院に留学しているジェレミー・ドンガラの兄で作家のエマニュエルに、浅草を案内するつもりが、案内され、機内で知り合った“日系”ペルー人の“秘密”に哄笑しながら胸を痛め、フセイン独裁下のイラクから来たアリー・イスマイルに、アメリカ侵攻後のイラク人の複雑な心情をつきつけられ、大連から来た魯達夫に「国籍」のなんたるかを教えられ——。
 時系列は前後するので彼に同伴するのはいささか苦労するけれども、「愉快でカルチャーショックに満ちた8つの胸キュン友情物語(帯)であり、そう、〈東京〉についての出色のノンフィクションなのだ。
 中国の山奥へ「野人」を探しに行く『怪しいシンドバッド』、アフリカ奥地に怪獣を探しに行く『幻獣ムベンベを追え』、アマゾンの奥地を旅する『巨流アマゾンを遡れ』、アジアの密林に突入する『西南シルクロードは密林に消える』、独立運動を展開しながらアヘンを栽培する少数民族と暮らす『ビルマアヘン王国潜入記』、それに『ワセダ三畳青春記』も、是非とも読んでほしい。
…ということです。
 私が言ってるんじゃないですよ。井家上さんがおっしゃってるんです。
というわけで、これからこのメルマガでは、私のこれまでの辺境の旅や日本で出会った妙な友人や出来事についてお伝えしていこうと思います。

関連記事

no image

混沌とするタイのお化けワールド

ついに『謎の独立国家ソマリランド』の見本があがってきた! パネルも本の装丁もむちゃくちゃか

記事を読む

no image

メモリークエスト依頼者面談、開始!

都内の某高級ホテルのラウンジで、幻冬舎「メモリークエスト」の面談を始めた。 集まった依頼の中で「これ

記事を読む

no image

なかなか出発できない件について

悪戦苦闘の挙げ句、『移民の宴』は無事校了。予定通り11月15日に発売される。 旅の準備も今よう

記事を読む

帰国。今回の無念について

昨夜、ソマリランド取材から帰国した。 今回の取材の目的は2つ。 一つは5月から連載を開始

記事を読む

no image

長井健司、ミャンマーに死す

毎日このブログではお気楽な話題を提供していたが、 ミャンマー情勢は緊迫の一途をたどっていた。 私のと

記事を読む

no image

超オススメのこの本とこの雑誌!

来週の土曜日(3月4日)から20日まで、ソマリランドとソマリアに行くことになっている。 たかだか二

記事を読む

no image

ツアンポー峡谷の謎

最近は気温こそ相変わらず高いが、湿度が低いせいか 外にいても日陰なら涼しい。 今日はなぜかJR高尾

記事を読む

no image

『ワセダ1.5坪青春記』、出版間近?!

『ワセダ三畳青春記』の韓国語版カバーなるものが集英社から送られ、驚く。 マジで出版する気らしい。

記事を読む

新キャラ・パープル旬子の『捨てる女』登場!

あと二時間ほどで家を出る。旅の準備はだいたい終わったと思ったら、大事なことがまだだった。 内

記事を読む

新連載開始?

今、すでに五誌(紙)で連載していてアップアップなのに 今度は「本の雑誌」で新連載を開始してしま

記事を読む

Comment

  1. km より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.16; Mac_PowerPC)
    メールマガジン登録したいのですが
    登録画面が文字化けして読めません…
    マッキントッシュではダメなのでしょうか?

  2. より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.14; Mac_PowerPC)
    kmさん、ご指摘ありがとうございました。
    ただいまOS9環境でチェックしたところ・・・
    急いで復旧しますので、いましばらお待ち下さいませ。
    失礼いたしました。
    とりいそぎ

  3. より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.14; Mac_PowerPC)
    kmさん、お待たせしました。
    これで正しく表示できると思います。
    どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。

  4. km より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.16; Mac_PowerPC)
    迅速な対応ありがとうございます。
    さっそく登録しました!

  5. はちくろ♪ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322)
    はじめまして!はちくろ♪といいます。m(__)m
    高野さんの「異国トーキョー漂流記」を拝見して、すっかりファンになってしまいました♪
    とても楽しくときにはホロリとさせていただきました。すごく面白かったです。
    私のBlogでもこちらのBlogとオフィシャルHPを紹介させていただきましたので、ご報告いたします。つたない私の文章で、面白さをじゅうぶんに紹介出来ず、お恥ずかしい限りですが、一人でも多くの方に知って頂きたい、楽しんで頂きたいと思い、書かせて頂きました。
    今度の冒険も期待しております♪お気を付けていってらしゃいませ(^▽^)
    ファンとして今後の活動も、応援しております。

  6. 辺境探険作家・高野秀行さん

    「これ、面白いよ〜」と薦められたので、読んだ本がある。『異国トーキョー漂流記』である。語学の天才!であり、辺境作家と自らを公言し、世界各国を渡り歩くナイスガイ!−が、作者の高野さんだ。その高野さんとちょっと妙でちょっとお間抜けでちょっと真面目でかな…

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年11月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
PAGE TOP ↑