なぜ北欧人は放射能を恐れてヒロシマに逃げるのか
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
もはや日記代わりなので、ここにどんどん書く。
29日(火)、「おとなの週末」で連載している「移民の宴」の予備取材でデンマーク大使館で
そこのシェフに話を聞く。
今度の金曜日か土曜日に都内の避難所でデンマーク料理を被災者の人たちに振る舞う予定だという。
ちなみに、フィンランド大使館は震災後、広島に「疎開」した。
デンマーク大使館も広島疎開を準備していたらしい。
どうして北欧の大使館はみんな広島に行こうとするのか
と不思議に思っていたが、
実はデンマーク風のパンで知られるアンデルセン・ベーカリーというパン屋グループが
北欧大使館と強いつながりがあり、今回も疎開の手助けをしているという。
で、アンデルセンの本社がたまたま広島なので、そっちへ行くということだった。
にしても、放射能を恐れてヨーロッパ人がヒロシマに逃げるなんて時代が来るとはねえ…。
☆ ☆ ☆
デンマーク大使館からの帰り、ネパール人被災者の情報を得ようと、飛び込みで目黒のネパールレストランに入って昼食。
そこのオーナーに紹介してもらい、新大久保にあるネパール人向け新聞社を訪ねる。
仙台から東京武道館に20名くらいネパール人の被災者が避難しているとニュースで見たので、それについて訊ねると、
「7人くらいは仙台に戻った」という。
なんでも「国に帰っても仕事がないし、東京でも仕事がない。
いろいろ考えると、これから復興需要がある仙台がいちばん仕事がありそうだ」という結論に達したのだそうだ。
在日外国人の動きも、立場や国籍によって実にさまざまである。
☆ ☆ ☆
夜は新宿で、毎日新聞外信部の記者であるKさんと飲む。
Kさんはテヘラン支局とイスラマバード支局など、中東で活躍してきた敏腕記者らしい。
新聞記者には珍しく、控えめで物静かなタイプだが、
バーミヤンの大仏が破壊されたという情報を得て、現地に急行したら
タリバンに捕まって「死刑宣告」を受けあやうく死にかけたなんて話を訥々としてくれた。
「イランは中東の京都」と私は常々思っているからそう言ったら、
「ほんま、そうですね。イラン人は何が本音か全然わからなくて。
私も京都の人間だからよくわかります」と言うのでびっくり。
「いや、私は悪口で言ったんじゃないですよ、雅な文化があると言ったまでで」と慌てて釈明してしまった。
関連記事
-
-
一度は行って見たい国
渋谷のトルコ料理店で若いユニークな女性2名と飯を食った。 一人は昨年まで大学院でアフリカのエリトリア
-
-
日本冒険界の奇書中の奇書
(昨日からのつづき) 「冒険家の藤原さん」で「イリアン」といえば、思い出すのは峠恵子の「ニュー
-
-
2012年に読んだ本ベスト10
毎年恒例の「私が今年読んだ本ベスト10」。私が読んだ本だから、今年出版のものとはかぎらない。 とは
-
-
『メモリークエスト』本日発売
まずはお知らせ。 『メモリークエスト』(幻冬舎文庫)、いよいよ本日発売です。 アマゾンや地方では明
-
-
間違う力の巨人、インドにデビュー!!
人は私に「間違う力」があるという。 いや、そんなことはない。 というか、私のやってることなど間違い
-
-
ここにも藤岡弘探検隊のファンが…
ひょんなことから、作家の古処誠二(こどころ・せいじ)と飯を食った。 つい最近まで私は古処さんのこと
-
-
『謎の独立国家ソマリランド』電子書籍版、ついに発売!
『謎の独立国家ソマリランド』が発売されてから早1年9ヶ月あまり。 ついに満を持して電子書籍
-
-
新婚2ヶ月ではありません
こんな時期に不思議なのだが、『西南シルクロードは密林に消える』(講談社文庫)が 重版になった。 王
- PREV :
- 米軍による驚くべき支援
- NEXT :
- 新婚2ヶ月ではありません


