ダウン症ドラマーのドキュメンタリー映画「タケオ」
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
飯田基晴『犬と猫と人間と』『あしがらさん』、土屋トカチ『フツーの仕事がしたい』と、
観た映画がすべてよかったドキュメンタリー映画グループ「ローポジション」の新作「タケオ」を観に行った。
ダウン症ドラマーの新倉壮朗のこれまで半生とサバールというアフリカンドラムの本場セネガルを訪れた様子を織り交ぜたもの。
メインとなっているセネガルで主人公のタケオはワークショップに参加するだけというのが
正直言って拍子抜けだったが、
お母さんが彼の幼いときから撮りためていたというビデオ映像はひじょうに面白かった。
タケオが身の回りの楽器だけでなく音の出るものを一つずつ試して、音楽にしていく様子は
私たち一般人が「音楽を習う」のとはちがい、まさに音やリズムを「探している」。
その試行錯誤がやがてかぎりなく現代音楽に近いものになっていくのは、人類が音楽をてさぐりで少しずつ築き上げていった歴史を個人が再現しているようだ。
実際に現代音楽家たちとタケオは共演もしている。
もっとも音楽的にどうなのか、素人の私にはよくわからなかった。
知的障害者だからユニークとかいう域を超えて、普遍的に音楽家としてすごいのだろうか。
知っているプロのミュージシャンや、音楽好きの友人にこの映画を見せて判断してもらおうと、DVDを4枚注文した。(来月発売予定)
☆ ☆ ☆
墨田区の鐘ヶ淵駅前でネパール人のクマルと焼き肉を食べる。
店は小汚いし、おやじはやる気ないし、無煙ロースターと無縁の店内は煙でもうもうしているが、肉はやたら美味かった。
私はどうも東京東部の飲み屋や飯屋のほうが肌に合うと思う。
関連記事
-
-
藤波辰爾の驚くべき腰痛秘話
『藤波辰爾自伝』(草思社)がなぜか版元から送られてきたので、 即読んだ。 あまりにも意外性のない
-
-
最終的にはパッション
宮田部長の『だいたい四国八十八カ所』(本の雑誌社)が重版になったそうだ。 このすさまじい出版不況下
-
-
あの素晴らしい旅行記をもう一度
なんとなく小島剛一著『トルコのもう一つの顔』(中公新書)を再読したが、 あらためて素晴らしい本だ。
-
-
スーダン南部、独立へ
スーダン南部の独立をめぐる住民投票がはじまった。 報道では独立派の圧勝と予測されている。 一体どうな
-
-
講談社ノンフィクション賞の最終候補になった
以下のようなことになったそうです。 -----------------------------
-
-
上智大学で比較未知動物学?
なぜか来年度の後期(10月〜2月)、上智大学外国語学部の非常勤講師を務めることになった。 大学で
-
-
ここにも藤岡弘探検隊のファンが…
ひょんなことから、作家の古処誠二(こどころ・せいじ)と飯を食った。 つい最近まで私は古処さんのこと
- PREV :
- 震災のリアルを超える傑作
- NEXT :
- 名探偵なき大巨篇ミステリ


