*

マリンダは馬じゃない

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

(右絵:斜め後ろから見た、走り行くマリンダ)
マリンダはどんな形をしているのか。
レース中であり、しかも火事から逃げるところなだけにSさんも動物に集中できなかったが、約五分間も動物と併走したので、かなり細かく観察できたという。
Sさんはイラストレーターをやっていたこともあり、絵がうまい。
その場でささっとスケッチを描いてくれた。
たしかに馬や牛とちがい、背中が平らではない。
だがキリンほど首は長くなく、同じキリン科のオカピに大きさも形も酷似している。
もちろん、オカピはコンゴ(旧ザイール)にしか生息していない。
それに謎の動物は背中にひじょうに特徴的なくさび型の模様があるが、
オカピにはそんなものはない。
私はその謎の動物にいたく惹かれたが、いつまでも「その謎の動物」と呼ぶのが面倒なので、Sさんの承諾をえて、「マリンダ」という源氏名をつけた。
マリとモーリタニアの国境付近、おそらくはマリ側で目撃されたと思われるので、
そう名づけたわけだ。
なんだか謎の美女みたいだし。

関連記事

no image

漫画探偵、登場!

浦沢直樹の担当編集者やプロデューサーを務め、 リチャード・ウーなる筆名で異色在日外国人漫画「ディア

記事を読む

no image

南伸坊氏のカバー完成

 来年2月刊に集英社文庫から刊行される新作「異国トーキョー漂流記」(これが正式なタイトルになった)。

記事を読む

no image

超能力者の支配する世界

貴志祐介のSF巨編『新世界より』(上・下 講談社)を読む。 SFを読んだのは久しぶりだが、面白かっ

記事を読む

no image

79人はちと多いのでは…?

上智大学の講義は、先週、実質的に第一回目で マレーシアでジャングルビジネスを営む二村聡さんにお越しい

記事を読む

no image

刀魚

昨晩は「銭形金太郎」でノノさんを見た。 まあ、そこそこ面白かったが、本人を知る者にとっては物足りな

記事を読む

講談社ノンフィクション賞を受賞しました

今日、タイの時間で3時過ぎ、チェンマイ大学の裏門前(通称「ランモー」)を通過中に驟雨にあい、 移動

記事を読む

no image

小さいおうち

中島京子の直木賞受賞作『小さいおうち』(文藝春秋)を読む。 まあ、書き出しから文章がすばらしい。

記事を読む

no image

『放っておいても明日は来る』本日発売

一週間で本が二冊出るなど、初めての経験だが、 『放っておいても明日は来る』(本の雑誌社)、通称「アス

記事を読む

no image

5分で振り返る今年の出来事

大晦日なので今年を5分だけ振り返ってみた。 今年よかったこと。 ・『辺境の旅はゾウにかぎる』を刊行で

記事を読む

no image

ベトナムの猿人

紆余曲折の結果、ミャンマー行きは取り止めになった。 最近、ほんとについていない。 その代わり同じ時期

記事を読む

Comment

  1. Dongala より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
    高野さん、Eメールがわからなくなってしまったのでサイトに送ってすみません。 (あとで消してくださってOKです)
    インターネットTVでガボン共和国と大使館の特集番組が放映されています。
    30分番組の終わりのほうでゴスペルグループも出演。。。 観てみてください。(オカピも出てきます)
    http://www.space-i.tv/4ch/index_1m.html
    Here is an Internet TV program about Gabon …and the Gospel group at the last 5 mins!
    Please watch Gabon, animals, culture, and Jesus Gospel House Live!
    Dans ce lien vous verrez un reportage sur le Gabon et a la fin du programme
    vous y verrez LIVE le Jesus Gospel House
    http://www.space-i.tv/4ch/index_1m.html

  2. のなか悟空 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    >>なんだか謎の美女みたいだし。
    ブログ掲示板は久しぶり!
    さて、余談だがタガログ語で『マガンダ』は美人じゃ。スワヒリで『マライカ』は天使?だっけ?この謎の動物の命名も、あながち外れてはいない。

Dongala へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑