珍しく円城塔氏と気があった、と思ったのだが……「本の雑誌」上半期ベスト1特集
公開日:
:
最終更新日:2012/07/17
高野秀行の【非】日常模様
「本の雑誌」8月号が届いた。今回の特集は「2012年上半期ベスト1」で、私も書いている。題して「超人類は『エデンの園』を信じない」。
おお、なんだかちょっと純文学かSFみたいな香りのするタイトルだ。しかして、中味は?
純文学かSFかで思い出したが、円城塔氏の書評。彼はまさしくそっちの人で、彼の勧める本はたいてい私からすると「へえ、そんな本を読む人もいるんだ」というものだが、今回に限ってはドンピシャであった。70年代ラオスを舞台にして不可思議なミステリ。
もっとも私はその続編が出ているのをこの書評で初めて知った。そうでなければ、当分気づかなかっただろう。「本の雑誌」はありがたい。
あと、宮田さんと内澤さんの連載はまだ読んでいない。今日ゆっくり仕事場で読むつもり。
……と、ここまで書いて仕事場に出かけたのだが、ツイッターで読者の方が「ラオスのミステリーについて書いているのは円城塔さんじゃなくて、風野春樹さんですよ~」と衝撃のご指摘。
いやあ、参りました。コリル・コッタリル『三十三本の歯』(ヴィレッジブックス)を推薦しているのはP.125、たしかに風野さんだった。で、見開きの反対側のP.124が円城さんだった。
パッと開いて、右側の「円城塔」という名前を見て、次に左側の「ラオス」という文字に激しく反応してしまったのだった。
いやあ、円城さんには失礼なことを書いてしまったものだ。「珍しく気が合った」なんて。
でも円城さんが今回紹介しているのは『錯覚の科学』で、私もこういう認知科学の話はわりと好きである。今から言っても遅いか……!!
関連記事
-
-
隣の芝生か岡目八目か
小田急沿線の町で、同姓同名の将棋指し・高野秀行五段、噺家の春風亭柳好師匠、その奥方のベーシストRさん
-
-
大脱出記を生かすも殺すも表現次第
なぜかよくわからないが、小説では「表現」や「いかに書かれているか」が問題とされるのに、 ノンフィク
-
-
ランニング復活記念に立ち会う
月曜日の晩、チェンマイ門の近くにある日本人ゲストハウスの庭先で開催されたライブを見に行った。
-
-
サッカーファンになる予定なのに…
着実にサッカーファンに向かって前進しているはずなのだが、 吉祥寺の書店でターザン山本『「金権編集長
-
-
世の中は私の知らない番組であふれている
三日間、伊豆に行ってきた。 昼間は外であれこれやっていたのだが、 夜は何もやることがなくすごくヒマ。
-
-
驚嘆のユーゴ・サッカー三部作
山田先輩は四万十に帰ってしまいサッカーファン強化合宿は終了してしまったが、 その後も自主練はつづい
-
-
3回目のボリショイ・サーカス
「本の雑誌」9月号の特集「エンタメ・ノンフ座談会」のゲラを校正する。 これがメチャクチャおもしろい。
-
-
25年ぶりに天龍源一郎を見た
なぜか一足早く忘年会シーズンになり、 連日飲んでいる。 日曜日は先日本屋野宿を行った伊野尾書店の伊野
- PREV :
- 鼠にも刺青を彫る?!――『バタス 刑務所の掟』
- NEXT :
- 高島俊男先生の人生は失敗だったらしい


