*

完璧な探検記

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


 わけあって、今さらながらアルフレッド・ランシング著『エンデュアランス号漂流』(新潮文庫)を読んだ。
 史上初めて南極大陸横断を目指したアーネスト・シャクルトンと27人の仲間が、
17ヶ月にわたる大遭難の末、全員が無事に生還したという奇跡の物語だ。
 彼らの艱難辛苦ぶりと不屈の魂といったら、想像を絶するという形容詞が全く足りないくらいで、それを南極の氷の結晶のように緊密な文章で伝えるこの本は、私が今まで読んだ中でも最も完璧な探検・冒険記だろう。
 探検部の後輩たちにも、まったく普通の生活をしている社会人の方々にも、同じようにお勧めしたい。これを読めば、絶対に元気になれるはずだ。
 しかし、今までこんな凄い探検家と探検記を知らなかった自分の無知にも驚いた。
      

関連記事

no image

新刊「世界のシワに夢を見ろ!」完成

いよいよお待ちかね、新刊「世界のシワで夢を見ろ!」(通称「しわゆめ」)が完成した。 これはヤングチ

記事を読む

no image

やっぱり全然ダメ…

前回のつづきである。 でも、自分がそんな間違いをするのがやっぱり不思議で、 帰宅するなり、念のため、

記事を読む

no image

公私混同の推進を!

来年3月ごろ発売が予定されている『世界の市場』という本に掲載用のインタビューを受ける。 インタビュ

記事を読む

no image

日本のゲバラ、ここにあり。

新宿K's Cinemaで長谷川三郎監督のドキュメンタリー映画『ニッポンの嘘』を観た。 なんと今年

記事を読む

no image

多忙につき

多忙である。 おそらく一般の人からすれば「まあ、ふつう」くらいだと思うが、 私のレベルでは「超多忙

記事を読む

no image

中島京子さんとの対談@web集英社文庫

四国での講演会ツアーから戻る。 web集英社文庫で中島京子さんとの対談がアップされていた。 http

記事を読む

no image

酒とつまみ 最新号

酒飲みの酒飲みによる酒飲みのための雑誌「酒とつまみ」13号が届いた。 ここの名物インタビュー「酔客

記事を読む

no image

舟を編む

何とは言わないが、ひどい小説を読んでしまい、 「とにかく上質な作品で口直ししたい!」と本屋の棚を彷

記事を読む

15年前のドンガラさんと私

二十代の頃からずっとお世話になっている翻訳家の浅尾敦則さんからこんな写真が送られてきて仰天した。

記事を読む

no image

2011年個人的ベストテン発表!

2011年はあんまり本が読めなかった。 1月に犬が死んで一時的にペット・ロスになり、それがやっと少し

記事を読む

Comment

  1. daonan より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    はじめまして、いつも更新を楽しみにしています。
    エンデュアランス号漂流、購入しようとAmazonを見たら
    他にも色々と面白そうな漂流記があって目移りです。
    本文と関係ないのですが、高野さんのアヘン王国〜を読み、
    ワ州に興味がわいており、中国語の検索サイトで以下を
    発見しました。(ご存知かも知れませんが)
    http://www.ct2t.com/myweb/index.asp?id=2604
    多分、中国人対象で、外国人はNGなのでしょうが、
    一度接触してみるつもりです。
    (小生、中国駐在中で、一応普通話出来るので・・・)

  2. izu より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    私はこの本を80歳の祖母に薦められて読み、非常に感動して、身近な人に読ませまくりました。隠れた名著ですよね。ちなみに、うちの祖母は本当の読書好きで、遊びに行くと、押入れの「あげてもいい本(=一番好きじゃない本)」の棚からいろんな本をくれるのですが、この本にもそんな経緯で巡り合いました。

  3. gadogado より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; BT Openworld Broadband; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    はじめまして。ロンドンよりLOVEです。 シャクルトン関係の本はイギリスでは厳格で教育熱心な家庭には必ず一冊あるような気がします(私の勝手な思い込みかもしれないけど)。両家の子供達がこの本を読んで不屈の精神とは何ぞやと学ぶのでしょう。日本で言ったら誰でしょうね?ちなみに10年ほど前にロンドンのNFTでこのエンデュランス号の記録係の隊員が撮影し今でも残っているフィルムの上映会がありました。

  4. タカ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; InfoPath.1; .NET CLR 1.1.4322)
     ようやく読み終わりました。凄い本ですね。人間ってこんなに強いのか、
    と思い知らされました。
     ラスト、生還した彼らがどのように扱われたか、その後の人生は
    どうだったかが書かれていればもっとよかったと思いました。

  5. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
    ボクはDVDで観ました。(本じゃないと反則?)
    タカさんと11月末に東京で会います。講談社本の項目で撮影大会をするのですが、多分トンボ帰りで戻ります。せっかく高野さんやタカさんの家に上がりこんで隠されたエロ本でも物色しようかと思っていたのに。残念

gadogado へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年3月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
PAGE TOP ↑