内側から見た「やくざ」
公開日:
:
最終更新日:2014/05/27
高野秀行の【非】日常模様

最近イースト・プレスの本が面白い。
まあ、知り合いの編集者が増えて新刊を送ってきてくれるせいもあるが、
一昨年は卯月妙子『人間仮免中』、昨年は高井研『微生物ハンター、深海を行く』と2年連続でその年のベスト級の
本を出しているというのはすごい。
そして、直近では、なべおさみ『やくざと芸能 私の愛した日本人』。
まず感心したのは、芸能人本なのに、本人がちゃんと書いていること。
芸能人本は基本ゴーストが書く。99パーセントがそうだろう。
自分で書いているのは水道橋博士と児玉清など数人ではないかと思われる。
なべおさみは自分で書いている。
自分で書くとギクシャクするが、それだけ「肉声」「本音」を感じる。
その肉声で、自分とやくざの関係や、やくざに対する熱い思い入れを語る。
そのうえで、「ある面でやくざと武士道は同じ」とひじょうに鋭い指摘をしている。
なぜ、やくざが天皇と結びつきたがるかも腑に落ちる。
古代ユダヤ人が日本に来てどうのといった話はさておき、
日本人の心性になぜやくざが訴えかけるのかという核心を、研究者やジャーナリストではなく、
「内側」から描いた貴重な本である。
関連記事
-
-
さらば「増刷童貞」!?
自慢ではないが、私は「増刷童貞」だ。 これまで書いた本は8冊。さらに、文庫化された本が3冊。さら
-
-
日本タイトルだけ大賞2011の候補になっていた
とにかく面白い(笑える)タイトルだけを選ぶ「日本タイトルだけ大賞」というのがあり、 知らないうちに「
-
-
「イスラム飲酒紀行」気持ちは早くも第2弾
今月25日に発売予定の新刊『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)の予約受付がアマゾンで始まった。 なぜかわ
-
-
純文学とエンタメのあいだ
三崎亜紀『廃墟建築士』(集英社)を読む。 『となり町戦争』『バスジャック』を読んだときにも思ったが
-
-
ポプラ社で「ムベンベ」キャンペーン?!
ポプラ社の文芸ウェブサイト「ポプラビーチ」の日替わり表紙写真(「本のある風景」)が6月29日、「ムベ
-
-
『謎の独立国家ソマリランド』PVはこちらで
昨日、朝日新聞の書評欄で『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)が取り上げられた。 しかも、なん
-
-
どっちなんだ、奥泉光?
奥泉山登山、2回目は本屋大賞で5位にもなった『シューマンの指』(講談社)。 前回とはうって代わり、
- PREV :
- ときに意味もなく文庫解説一覧
- NEXT :
- カーンとハーン


