*

内側から見た「やくざ」

公開日: : 最終更新日:2014/05/27 高野秀行の【非】日常模様

2014.05.26nabeosami
最近イースト・プレスの本が面白い。
まあ、知り合いの編集者が増えて新刊を送ってきてくれるせいもあるが、
一昨年は卯月妙子『人間仮免中』、昨年は高井研『微生物ハンター、深海を行く』と2年連続でその年のベスト級の
本を出しているというのはすごい。

そして、直近では、なべおさみ『やくざと芸能 私の愛した日本人』
まず感心したのは、芸能人本なのに、本人がちゃんと書いていること。
芸能人本は基本ゴーストが書く。99パーセントがそうだろう。
自分で書いているのは水道橋博士と児玉清など数人ではないかと思われる。

なべおさみは自分で書いている。
自分で書くとギクシャクするが、それだけ「肉声」「本音」を感じる。
その肉声で、自分とやくざの関係や、やくざに対する熱い思い入れを語る。
そのうえで、「ある面でやくざと武士道は同じ」とひじょうに鋭い指摘をしている。
なぜ、やくざが天皇と結びつきたがるかも腑に落ちる。
古代ユダヤ人が日本に来てどうのといった話はさておき、
日本人の心性になぜやくざが訴えかけるのかという核心を、研究者やジャーナリストではなく、
「内側」から描いた貴重な本である。

関連記事

no image

求む、ナイスな雑木林コース

昨日、鎌倉と江ノ島に行った。 両方とも今までの人生で行ったことがあるといえばある。 が、鎌倉

記事を読む

no image

私の名は紅

前から気になっていたケン・フォレットの世界的ベストセラー『大聖堂』を読み始めたのだが、 物語はとく

記事を読む

no image

ひそやかに『謎の独立国家ソマリランド』完成

2月18日発売の新刊『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』(本の

記事を読む

no image

藤波辰爾の驚くべき腰痛秘話

『藤波辰爾自伝』(草思社)がなぜか版元から送られてきたので、 即読んだ。  あまりにも意外性のない

記事を読む

no image

事実上は本日発売だった!

『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)がいよいよ昨日発売になった。 本の雑誌社に行

記事を読む

no image

スーダン寿司

スーダン人の盲目の友人、というか最近では「出来の悪い弟」みたいな感じになっている アブディンから電話

記事を読む

no image

罠、二つ

「Amazon.co.jpで、以前に××の本をチェックされた方に、このご案内をお送りしています」と

記事を読む

no image

2010年小説ベストテン

恒例(だったっけ?)の年間枚ベストテンを発表したい。 私が今年読んだ本だから、出版年はバラバラだ。

記事を読む

ギラギラと輝く船戸ワールドの原点

知り合いである大学の先生が仕事の忙しさを「まるで障害物競走のよう」とたとえていたが、 私もまさ

記事を読む

no image

オススメ土着的流行歌

今日は珍しく音楽の紹介をさせていただきたい。 シングルCD エコツミ「さくらの日」 二年前になる

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2026年3月
     1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    3031  
PAGE TOP ↑