*

バンコクの冬

公開日: : 最終更新日:2013/02/04 高野秀行の【非】日常模様


最近、飛行機での移動中は、話題作(あるいは古典)の長篇ミステリを読むというのがマイブームである。
ふだんは時間がなくて、なかなか大長編ミステリを一気読みできないからだ。

前回、ロンドンに行ったときは『ミレニアム』、ロンドンからソマリへはドン・ウィンズロウの『ストリート・キッズ』、バンコクから東京に戻るときは横山秀夫『64』を堪能した。

今回、バンコクへ行くにあたっては、スティーヴ・ハミルトン『解錠師』(ハヤカワ文庫)をトップバッターに起用。見事に第一打席初球ホームランをかっ飛ばしてくれた。

主人公の若者が一言も声を発しないというだけで、物語がびっくりするほど引き締まる。
小説としての構成は美しく、越前敏哉氏の訳もドンピシャ。
文の芸としての「文芸」、ここにありという感じだ。

ちなみに、著者近影で、著者は右手にヒゲオヤジみたいな人形を握りしめているが、
あれは一体何だろう?

       ☆         ☆         ☆

バンコクも「真冬」で、エアコンも扇風機もなしで快適に過ごせるのが驚異。
もちろん、寒くはない。
最高だよな~と思ってたら、謎の胃腸痛にやられて、今日一日ダウンしてしまった。
杉江さんの呪いかもしれない。

関連記事

no image

選定図書って何?

先月出版した『世界のシワに夢を見ろ』(小学館)が日本図書館協会選定図書に選ばれた。 理由はまったくわ

記事を読む

no image

霊感はない、ただ見えるだけ

工藤美代子『もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら』(幽ブックス)という本をもらっていたこ

記事を読む

no image

10年遊んで暮らした人の話

私が解説を書かせていただいた川上健一『ビトウィン』(集英社文庫)が 発売された(たぶん)。 本来い

記事を読む

no image

決起集会よりも

月曜日、幻冬舎の編集者2名と『メモリークエスト』決起集会。 もう原稿は完成しており、クオリティの高さ

記事を読む

no image

寒波と猛暑

フランスに亡命したルワンダ人の友人のところに母国から家族が到着した。 奥さんと娘が移住を認められたの

記事を読む

no image

不思議で贅沢な春の晩

以前、コンゴ(旧ザイール)の障害者バンド「スタッフ・ベンダ・ビリリ」を日本に呼び、 そのライブに私

記事を読む

no image

まくらサイズです。

「在日ムスリムのメッカ」と一部で勝手に言われることもある群馬県・館林&伊勢崎の館林を初めて訪れた。

記事を読む

no image

鼠にも刺青を彫る?!――『バタス 刑務所の掟』

藤野眞功『バタス 刑務所の掟』(講談社)を今頃読んだ。2010年に出たとき、本屋で立ち読みしたが、な

記事を読む

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている人なのか説明できない」という人

記事を読む

no image

【訂正】岡野雅行『野人伝』

このところ忙しくてブログを書く時間がなかなかとれないが、 岡野雅人 岡野雅行『野人伝』(新潮社)だ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年11月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
PAGE TOP ↑