学校や仕事に行くのが辛いとき、この映像を見よう
公開日:
:
最終更新日:2013/09/02
高野秀行の【非】日常模様
アブディンの『わが盲想』、やっと重版がかかった。
「すぐにドカーンと売れる」という私の皮算用からはまだほど遠いが、一応最初の関門は突破だ。
それを祝ってではないだろうが、ポプラ社でアブディンのプロモーション・ビデオを作ってくれた。
『わが盲想』がイマイチ一般読者に届いていないのは、『わが盲想』が一体何の本なのか一口で説明できないからだ。
別に頑張ってる障害者の話ではないし、かわいそうなアフリカ人の話では全然なく、
努力すればこんなこともできるんだという類のサクセス・ストーリーでもなく(なんせ本人は怠け者)、
日本人が大好きな日本批判の本でもない。
読めばその面白さはわかるのだが、読まないとなかなかそれが伝わらない。
まるで、かつて高野本に言われていたことと同じだ。
というわけで、ビデオは本人が見られるので大いに力を発揮するにちがいない。
あらためてこれを見たら、「アブって、すげー面白い奴だったんだ!」と驚いてしまった。
私はあまりに彼としょっちゅう話をしてるので、今さら面白いとかなんとか思わない。
一般人の目線で見て、やっとそれに気づいた。そして大笑いした。
それから『わが盲想』とは何か。アブがビデオで言っていることがいちばんわかりやすい。
「情報というのは視覚によるものが7割あるらしい。その情報が得られない、しかも日本語もわからない外国人が
いかにして見知らぬ日本という国をサバイブ(生き残る)してきたか」(意訳)
2分半ほどだし、朝、学校や会社に行くのがかったるいと思ったときに見るとちょうどいいのではないかと思う。
関連記事
-
-
『猛き箱舟』をうっかり再読
いろんな仕事がたまっているのに、船戸与一の大作『猛き箱舟』を読んでしまった。 西サハラを舞台にして
-
-
友だちは反政府ゲリラだけ…
チェンマイにいる。 4年ぶりだが、驚くほど街が変わった。 見知っている建物がない。 だから自分がどこ
-
-
高橋留美子に漫画化してもらいたい
相変わらず在日外国人取材の日が続いている。 忙しいのだが、移動や待ち時間も多いので、本は読める
-
-
ミスター珍じゃないだろ!
今月の20日ごろ発売になる「怪しいシンドバッド」(集英社文庫)の見本が届いた。 表紙のイラストは、ア
- PREV :
- 今年最後のトークイベント&川崎市と横浜市の市境は神の意志で決められた
- NEXT :
- ドンガラさん、15年ぶりの緊急来日