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週末イラクで壮大に脱力?

公開日: : 最終更新日:2013/08/28 高野秀行の【非】日常模様

2013.07.05shimokawa
月曜日、朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」に掲載用に下川裕治氏と対談した。
下川さんとは初対面。旅行作家として私の大先輩だが、偉ぶるところが全くなく、飾らない人柄はまるでご本人が『週末バンコクでちょっと脱力』(朝日新聞出版)などに書かれているとおり。
こんなに書くものと本人にズレがない人も珍しい。

私と下川さんはやっていることの方向性は全然ちがうのに、周囲の状況に流されやすい性格や人付き合いに疲れやすい体質、あるいはいつまでたっても旅慣れないところなど、特に世間的にマイナスとされている部分がひじょうによく似ていて驚いた。

対談後は飲みに行く。
下川さんは「イラクのビザが取れるようになったらしい。一緒に行かない?」と私を誘ってくれたが、下川さん曰く「北アフリカからイラクを通って、ヨーロッパをポルトガルまで行って地中海を一周したい」

え、地中海を陸路で一周?

どうして、イラクに行けるというだけでそんな壮大な計画を立てるのだろう。私など、イラク国内を旅するだけでお腹いっぱいだ。
しかも「僕ももう還暦ですよ。そろそろ旅仕舞いしたい」とさっきまで言っていたのに。
下川さんが日本を代表する旅好きだというのは間違いないと確信したものだ。

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Comment

  1. 元タビビト より:

    下川さんといえば、学生や フリーターのバックパッカーたちの教祖さまみたいなかたですよねぇ。オイラも、単行本、文庫本 問わず、ほとんどの著作物を所有しちょります。でも、まだ ご本人にお目にかかったこと、ないんです。全部に サインと 為書きを 御願いしたら、してくれるかなぁ ?
    高野さんの著作は、ムベンベの単行本( 早稲探 著のデビュー作 )にも、地球の歩き方の別冊 アマゾン本にも、サインもらってるのになぁ。

  2. マチルダ より:

    いつもブログを拝読しています。現在韓国在住で、とある学校に通っているのですが、文章作成の時間に高野さんの『アヘン王国潜入記』のことを書きました。それを読んだ教授から韓国語版はないかと聞かれたのですが、現在出版されていますか?また予定などはありますか?

  3. 夕立 より:

    下川さんの本は以前読んだことあります。神戸から船(鑑真丸)だったか?に乗り中国に渡りシベリア鉄道で大陸横断、米国ではバスに乗り世界一周の旅をする内容のものでした。
    高野さんの本の面白さとは趣が違ってましたけどね。
    高野さんの本は、漫画家の水木しげるさんの人生論と通じるものがあります。
    だから面白い。世の常識にとらわれない処など似ています。

  4. Kenzo Hirohashi より:

    タイや早稲田付近に出没率が高い(?)という意味で共通の高野さんと下川さんが初対面とは!どちらも存じている私としては驚きでした。対談、私も参加したかったなあ。

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    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
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