週末イラクで壮大に脱力?
公開日:
:
最終更新日:2013/08/28
高野秀行の【非】日常模様
月曜日、朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」に掲載用に下川裕治氏と対談した。
下川さんとは初対面。旅行作家として私の大先輩だが、偉ぶるところが全くなく、飾らない人柄はまるでご本人が『週末バンコクでちょっと脱力』(朝日新聞出版)などに書かれているとおり。
こんなに書くものと本人にズレがない人も珍しい。
私と下川さんはやっていることの方向性は全然ちがうのに、周囲の状況に流されやすい性格や人付き合いに疲れやすい体質、あるいはいつまでたっても旅慣れないところなど、特に世間的にマイナスとされている部分がひじょうによく似ていて驚いた。
対談後は飲みに行く。
下川さんは「イラクのビザが取れるようになったらしい。一緒に行かない?」と私を誘ってくれたが、下川さん曰く「北アフリカからイラクを通って、ヨーロッパをポルトガルまで行って地中海を一周したい」
え、地中海を陸路で一周?
どうして、イラクに行けるというだけでそんな壮大な計画を立てるのだろう。私など、イラク国内を旅するだけでお腹いっぱいだ。
しかも「僕ももう還暦ですよ。そろそろ旅仕舞いしたい」とさっきまで言っていたのに。
下川さんが日本を代表する旅好きだというのは間違いないと確信したものだ。
関連記事
-
とくに関西の女性に感謝!
二週連続で行った「旅の本屋 のまど」のトークイベントが終わった。 毎回ながら、熱心な読者の方が多くて
-
『ワセダ1.5坪青春記』韓国でヒット中
ソウル・ショック第2弾は、私の本の韓国語版『ワセダ1.5坪青春記』が 発売たった2ヶ月で3刷りにな
-
名探偵なき大巨篇ミステリ
最近小説が読めなくなっていると前に書いたが、 とくにミステリはダメだ。 なにしろリアルでは原発や放射
-
このくだらない本がすごい!
正月早々、高橋秀実『はい、泳げません』(新潮社、現在は文庫も出ている)を再読。 超カナヅチの秀実さ
-
異常ラジオ「東京ガベージコレクション」出演
平山夢明兄いがパーソナリティを務めるTOKYO FM「東京ガベージコレクション」というラジオ番組
-
小説にいちばん近いルポ
日本に移り住んだ外国人の食生活を追った『移民の宴』。「おとなの週末」で連載したものを大幅に加筆修正
-
笑えてスカッとするフランス映画
軍事産業を皮肉った面白いコメディをやっているというので、 下高井戸シネマに見に行った。 タイトルが
-
ミスター珍じゃないだろ!
今月の20日ごろ発売になる「怪しいシンドバッド」(集英社文庫)の見本が届いた。 表紙のイラストは、ア
- PREV :
- ノルウェー弾丸ツアー
- NEXT :
- 衝撃! これがアマゾン時代の私の恋人?!
Comment
下川さんといえば、学生や フリーターのバックパッカーたちの教祖さまみたいなかたですよねぇ。オイラも、単行本、文庫本 問わず、ほとんどの著作物を所有しちょります。でも、まだ ご本人にお目にかかったこと、ないんです。全部に サインと 為書きを 御願いしたら、してくれるかなぁ ?
高野さんの著作は、ムベンベの単行本( 早稲探 著のデビュー作 )にも、地球の歩き方の別冊 アマゾン本にも、サインもらってるのになぁ。
いつもブログを拝読しています。現在韓国在住で、とある学校に通っているのですが、文章作成の時間に高野さんの『アヘン王国潜入記』のことを書きました。それを読んだ教授から韓国語版はないかと聞かれたのですが、現在出版されていますか?また予定などはありますか?
下川さんの本は以前読んだことあります。神戸から船(鑑真丸)だったか?に乗り中国に渡りシベリア鉄道で大陸横断、米国ではバスに乗り世界一周の旅をする内容のものでした。
高野さんの本の面白さとは趣が違ってましたけどね。
高野さんの本は、漫画家の水木しげるさんの人生論と通じるものがあります。
だから面白い。世の常識にとらわれない処など似ています。
タイや早稲田付近に出没率が高い(?)という意味で共通の高野さんと下川さんが初対面とは!どちらも存じている私としては驚きでした。対談、私も参加したかったなあ。