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ノルウェー弾丸ツアー

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

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日曜日に出て土曜日にに戻るという、私にとっては「弾丸ツアー」でノルウェーに行ってきた。
目的は以前、モガディショで世話になったハムディに会いに行くこと。
彼女に頼まれて日本に呼ぶ算段をしていたら、突然ノルウェーに行ってしまった。
一体なにが起きたのか訊いてみたかったこと、それにソマリ語会話を半年間やらないと、激しい「飢え」に襲われること、
さらに福祉国家と言われる北欧でのソマリ・コミュを見てみたかったことが理由だ。

これまで準戦地とでも言うべきソマリアでしか会ったことがない彼女を北欧の国で見るのは変な気がしたが、モガディショと全く同じようにファッショナブルだったし
言葉も全くわからないのに、相変わらず、堂々と立ち振る舞っていた。
「ここは平和だけど、それだけ。あとはみんなモガディショのほうがいい」とのこと。
ノルウェーに移住した動機はなかなか興味深く、「ふーん…」とまた新たなソマリの一面を知る思いだった。

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ソマリ・コミュは想像以上に大きかった。
ノルウェーの全人口が400万人しかいないのに、ソマリ人が3万人もいるという。
しかもその大半が、人口約60万人とほぼ八王子市と同じ規模の首都オスロに住んでいる。
街の中央部には「リトル・モガディショ」とも称されるソマリ人街があり、
どこを見渡してもソマリ人。
彼らはソマリ人のレストランでソマリ料理を食べ、平日の昼間からソマリ人のカフェで仲間と延々とおしゃべりをし、
路上の売人からカートを買っては家に持ち帰って仲間と一緒に食べている。
(ヨーロッパではイギリスとオランダ以外、カートは違法。ノルウェーも例外ではないが、私の見たところノルウェー当局は
あえて厳しい取り締まりを行ってないようだった)
ソマリ人は、ハルゲイサでもモガディショでもロンドンでもオスロでも、世界中どこでも同じ生活パターンで生きているのだろう。

当然のことながら、私もそのサイクルにはまっていたわけだ。
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地元の若者たちとオスロの名物であるらしいオペラハウスのスロープ状の屋根に登ったりもした。

帰りにハルゲイサかモガディショに寄りたい!という強い衝動に襲われたが、タイ行きが間近に迫っているためそうもいかず、
(というか、そんなチケットは持ってないし)
名残惜しく帰ってきた。次のソマリ世界への旅は11月、ソマリランドの予定である。

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Comment

  1. 夕立 より:

    月刊誌 8月号正論に、謎の独立国家ソマリランドの書評が掲載されていました。書評子いわく、面白すぎて時々不安になるのが、唯一の欠点だとか。
    素直に面白いと言えばいいのに。

    • 高野秀行 より:

      お知らせをありがとうございます。
      私も「正論」の書評を読んでみましたが、なぜ不安になるのかわからないですね。
      もしかして、「ここに書かれているのは本当のことなのか?」と思って不安になるんでしょうか。
      それなら杞憂なのですが。

  2. taka より:

    モガディショで、あんなに生き生きしていたハムディが、”移住” するとは・・。やはり、動機を知りたいところです。

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    • 現実はSFより奇なり、だ。200頁足らずの本だが学術書のため4800円もする。だから一般の読者にお勧めはしないが、興味のある人には読む価値が十分すぎるほどある。ていうか、マジおもしろい。 https://t.co/5c390UwAXF ReplyRetweetFavorite
    • 最近、「本の雑誌」連載のためSF小説を集中して読んでいたが(詳しくは同誌に書く予定)、一段落したので、人類学の本を久しぶりに読んだ。砂野唯著『酒を食べる エチオピア・デラシャを事例として』(昭和堂)。なんと、栄養摂取の方法として酒しか飲まない民族がエチオピアにいるという(つづく) ReplyRetweetFavorite
    • わけのわからない本の書評なら仲野先生の右に出る者はないですねー。 https://t.co/GPmnRcxG8V ReplyRetweetFavorite
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