*

電話不携帯のやめられない快適さ

公開日: : 最終更新日:2013/09/09 高野秀行の【非】日常模様

2013.09.08wasurerarenai
 帰国して拝受した本、第3弾。
 『忘れられない一冊の本』週刊朝日編集部(朝日文庫)。作家や映画監督、アーティスト、俳優など82人が語る本と思い出の
ショートエッセイ集。
 内澤旬子副部長、角幡唯介、中島京子、大竹聡といった私の知人友人も書いているし、私自身も書いている。ちなみに私のエッセイの
タイトルは「懲役五年を覚悟して 絶体絶命時に読むといい本」である。

         ☆          ☆          ☆

 携帯電話が壊れたままだ。でもあまり積極的に修理する気にならない。
というのは、二ヵ月のタイ旅行で、誰とも電話をしない生活に慣れきってしまい、必要性を感じなくなってしまったからだ。
 むしろ電話がないのは静かでいい。タイに行く前、私のところには一般の人と同様、いろいろな電話が毎日かかってきたものだ。
 中にはどうでもいい電話や面倒くさい電話もたくさんあった。
 「昨日が締切だったんですが、原稿の方いかがでしょうか」なんて電話はその最たるものである。

 そういう電話が一切かかってこない。仕事をしていても集中力が途切れないし、休んでいても落ち着く。
 必要なことはメールで十分である。iPhoneがあるから、急ぎの話もメールでほぼ解決する。
 面倒なメールは返事を忘れたふりをして何日か何週間か寝かすこともできる。

 「しかし仕事の電話もあるし、そうも言ってられない」と、昨日は、重い腰をあげて、ドコモショップに修理にいったら、修理代が1万7千円以上でデータも全部消去されると聞き、
完全に嫌気がさした。また機種変更でも1万数千円がかかるという。
 しまいには間違う力を発揮して機種変更料が唯一0円というキッズ携帯を契約しかけたが、キッズ携帯は機種変更でなく、
新規契約で二重に通話料がとられることが判明し、「いいかげんにしろ!」と思って店を飛び出した。
 まあ、ともかく、料金体系の不透明さでは、電話やネットのプロバイダーの右に出るものはなく、私は大嫌いなのだ。

 結局、いまだ電話は開通していない。友人諸氏の話では中古の携帯を買ってシムカードを入れ替えれば使えるそうだが、
いったん電話不携帯の便利さを知ってしまうとなかなか元に戻すのは難しい。昨日、一大決心をして、それが打ち破られたのでなおさらだ。
 みなさん、当分はメールで連絡お願いします。

(註:これを読んだ人はきっと「iPhoneで電話すりゃいいじゃん!」と突っ込むだろうが、私はいろいろな間違った事情から
iPhone電話を使用していない。使い方もよくわからないし、友人知人の電話番号も登録されていない。名刺にもメールにも
その番号は載せていないから(私自身、昨日まで自分の番号を知らなかった)、誰もかけてきようがない—-という体たらくなのです)

関連記事

no image

ハルキ風異国トーキョー

『異国トーキョー漂流記』(集英社文庫)の表紙を変えることになった。 あ、いや、何か問題があったわけじ

記事を読む

no image

マイブームじゃなかった…

依然としてマイ・ブームとして続いている「自閉症モノ」、 3冊目に読んだやはり泉流星の『僕の妻はエイリ

記事を読む

2013年に読んだノンフィクション・ベストテン

毎年恒例となっている「今年読んだ本ベスト10」をやるのをすっかり忘れていた。 今急いでやります。

記事を読む

no image

続・能力の限界

これが幻のポスター。 やっと、ブログにアップすることはできた。 しかし、これを元にポスターにするに

記事を読む

no image

ぶったるんでるのか、それとも…

最近どうにも体調がわるい。 3,4年ぶりに腰痛が再発したのを皮切りに、これまた5年ぶりとも6年ぶり

記事を読む

no image

書店野宿

2年前、前代未聞の「書店プロレス」を実施した伊野尾書店の伊野尾さんから、 今度は「書店野宿」という

記事を読む

no image

エチオピアへ

突然ながら、6月1日より30日まで一ヵ月間、 アフリカ方面に出かけることした。 行き先は未定だが、と

記事を読む

no image

「なんだかわからない…」魚類研究の大家

先週、魚類研究の大家の先生にお願いし、「謎の物体」映像を見てもらった。 結果は、「なんだろうねえ、不

記事を読む

no image

また未知動物

磯崎憲一郎の第二弾、『世紀の発見』(河出書房新社)。 帯の惹句によれば 「ガルシア=マルケス『百年

記事を読む

no image

タマキングにカヌーを習う

先週の金曜日、またしてもタマキング(宮田珠己)と一緒に川へ出かけた。 私は来年初めにメコン川を二ヶ月

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年7月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031  
PAGE TOP ↑