*

帰国。今回の無念について

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

2014.03.27Caynabo
昨夜、ソマリランド取材から帰国した。

今回の取材の目的は2つ。
一つは5月から連載を開始する『謎の独立国家ソマリランド』続篇のための追加取材。

もう一つは、全く別の、ソマリの伝統についての新規取材の下調べだった。

前者はつつがなく済んだ。
はっきりしなかった事実関係や私の間違った思い込みなどがいくつも明らかになり、
たいへん充実した。

後者は「うーん…」てな感じだった。
できる範囲では当事者に話を聞き(カートをやりながら)
頑張って取材した(写真)。
ソマリの掟はひじょうに奥深くて、面白いことこの上ないのだが、
正直言って、氏族の名称や関係性を深く理解していないとわからない。
日本の一般読者には理解が難しいだろう。
さらに、外部の人間がソマリの伝統の根幹に関わる部分にタッチしようとするのは
やっぱり難しいことがわかった。残念だがしかたない。
2014.03.27Wajale

それとは別に、今回は探検部時代の竹村先輩が同行し、ミャンマー納豆紀行同様、
ビデオカメラを回してくれた。
ソマリランドの映像がかなり撮影できた。
どこへ行っても(特に首都ハルゲイサだが)「やめろ!」「勝手に撮るな!」など
罵詈雑言を浴びながらの撮影で、私たちは二人とも疲弊したが、
貴重な映像になったと思う。

ラクダの水がぶ飲みとか私の取材風景とかラス・ゲールの古代壁画、市場でWFP(国連食糧計画)の南部ソマリア援助物資が横流しされているところ、カート屋台の大盛況っぷりなどなど。

まだこれらの映像をどう使うのか先輩は決めてないようだが、
いずれ読者のみなさんにもお目にかけられることになると思う。

あと、ソマリランドには直接関係ないが、今回は経由地であるエチオピアのアディスアベバで
ランナーたちに遭遇した。
中には若い美女ランナーもいて、一緒に写真を撮ってくれませんかと頼んだのだが、
無視された(写真)。
アジアの変態オヤジと思われたのだろうか。無念であった。
2014.03.27Addis abeba

関連記事

no image

トルコの怪獣ジャナワール取材

にわかに周囲でいろんなものが動き出し、 ブログもすっかりごぶさたしてしまった。 まずは8月22日から

記事を読む

黒豆納豆のアボガド・サラダ

今日届いた納豆セットのうち、たった一つだけ入っていた黒豆納豆「光黒」を使ってさっそく料理。

記事を読む

no image

猫又とペシャクパラング

TBSラジオの「安住紳一郎の日曜天国」という番組に出演。 アフガニスタンのペシャクパラングについて話

記事を読む

no image

いよいよ『困ってるひと』

私がプロデュースする第1弾、大野更紗『困ってるひと(ポプラ社)の見本ができた。 カバーイラストはウェ

記事を読む

no image

人・脈・記

一昨日、テレビ東京のワールドビジネスサテライトで二村さんの特集を見た。 いや、生物多様性(生物資源

記事を読む

no image

夢から悪夢へ

11日の午後2時ごろまで、「王様のブランチに出たら今度こそ本が売れる」とか 優香のコメントが出たらも

記事を読む

no image

平山夢明、幻の助言

なぜかよくわからないのだが、『世界屠畜紀行』の内澤旬子さんとホラー作家(なのか?)の平山夢明さんと飲

記事を読む

no image

愛するマンガ

今、私がいちばん愛しているマンガはこれです。

記事を読む

no image

友だちは反政府ゲリラだけ…

チェンマイにいる。 4年ぶりだが、驚くほど街が変わった。 見知っている建物がない。 だから自分がどこ

記事を読む

no image

ロスト・シティZ

最近、突然読書量が増えたのは、仕事のあとや合間でなく、 始まる前に机に向かって本を読むようになった

記事を読む

Comment

  1. 加藤知也 より:

    写真に写っているラクダの首に大きな×印。
    高野さんのフェイスブックに写っているラクダの首には○印が三つ。
    これは焼印か何かですか?
    西部劇に出てくる牛たちはお尻に焼印押されているけれど、ラクダたちは首に印をつけられるのでしょうか?

    • 高野秀行 より:

      ご推察のとおりです。ラクダには持ち主の印が体のあちこちに記されています。首もあれば、背中や腹に記されることもありますね。焼き印みたいなのもあるし、ただ黒くマジックかペンキで描いてるんじゃないかというのもあります。

      あ、水泳に早く復帰しなければ。

高野秀行 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年12月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑