帰国。今回の無念について
公開日:
:
高野秀行の【非】日常模様
今回の取材の目的は2つ。
一つは5月から連載を開始する『謎の独立国家ソマリランド』続篇のための追加取材。
もう一つは、全く別の、ソマリの伝統についての新規取材の下調べだった。
前者はつつがなく済んだ。
はっきりしなかった事実関係や私の間違った思い込みなどがいくつも明らかになり、
たいへん充実した。
後者は「うーん…」てな感じだった。
できる範囲では当事者に話を聞き(カートをやりながら)
頑張って取材した(写真)。
ソマリの掟はひじょうに奥深くて、面白いことこの上ないのだが、
正直言って、氏族の名称や関係性を深く理解していないとわからない。
日本の一般読者には理解が難しいだろう。
さらに、外部の人間がソマリの伝統の根幹に関わる部分にタッチしようとするのは
やっぱり難しいことがわかった。残念だがしかたない。

それとは別に、今回は探検部時代の竹村先輩が同行し、ミャンマー納豆紀行同様、
ビデオカメラを回してくれた。
ソマリランドの映像がかなり撮影できた。
どこへ行っても(特に首都ハルゲイサだが)「やめろ!」「勝手に撮るな!」など
罵詈雑言を浴びながらの撮影で、私たちは二人とも疲弊したが、
貴重な映像になったと思う。
ラクダの水がぶ飲みとか私の取材風景とかラス・ゲールの古代壁画、市場でWFP(国連食糧計画)の南部ソマリア援助物資が横流しされているところ、カート屋台の大盛況っぷりなどなど。
まだこれらの映像をどう使うのか先輩は決めてないようだが、
いずれ読者のみなさんにもお目にかけられることになると思う。
あと、ソマリランドには直接関係ないが、今回は経由地であるエチオピアのアディスアベバで
ランナーたちに遭遇した。
中には若い美女ランナーもいて、一緒に写真を撮ってくれませんかと頼んだのだが、
無視された(写真)。
アジアの変態オヤジと思われたのだろうか。無念であった。

関連記事
-
-
怪獣ノノゴン、上智に現る!
「探検業界の寅さん」「永遠の日雇い青年」こと野々山富雄氏が 上智大学の対談ゲストに登場。 かつて一
-
-
究極の野菜はフグ野菜
今年も年初から忙しくなかなか読書の時間がとれないけれど、 読んだ本は当たりが多く、充実している。
-
-
なぜ妻子持ちは超過酷に挑むのか
1カ月ほど前、鏑木毅『激走100マイル 世界一過酷なトレイルラン』(新潮社)という本を読んで感銘
-
-
島田荘司『占星術殺人事件』
知り合いの先生に頼まれ、神奈川県の高校でミニ講義みたいなことをやった。 たまには趣向を変えて、辺境
-
-
シリア・イラク国境地帯の驚異
ユーフラテス河沿いに進み、イラク国境近くの町にいる。 シリアの他の場所は砂漠ばかりだが、この河沿いだ
-
-
世界はまだまだ広く、日本人にもスゴイ人たちがいる
まずはお詫びから。 『謎の独立国家ソマリランド』で2ヵ所誤りが見つかった。 正確に言えば、知
-
-
新刊の表紙はマダム・ヤン
6月26日に発売される新刊『アジア新聞屋台村』(集英社)の見本が届いた。 「マダム・ヤン」みたいな女
-
-
トルクメニスタン特集
毎回ディープな特集で楽しませてくれるバンコク発の特殊月刊誌「G-Diary」。 ちょっと遅くなって
- PREV :
- これからちょっとソマリランド
- NEXT :
- 仕事の邪魔になる本を是非!




Comment
写真に写っているラクダの首に大きな×印。
高野さんのフェイスブックに写っているラクダの首には○印が三つ。
これは焼印か何かですか?
西部劇に出てくる牛たちはお尻に焼印押されているけれど、ラクダたちは首に印をつけられるのでしょうか?
ご推察のとおりです。ラクダには持ち主の印が体のあちこちに記されています。首もあれば、背中や腹に記されることもありますね。焼き印みたいなのもあるし、ただ黒くマジックかペンキで描いてるんじゃないかというのもあります。
あ、水泳に早く復帰しなければ。