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狂気の起源を求めて

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

ビルマ(ミャンマー)難民研究者にして本人は医療難民の大野更紗さんのところに
シャン料理をもっていく。
高田馬場のシャン料理店「ノング・インレー」で購入したものだが、
シャン豆腐の炒め物も酸っぱいスープも美味く、たまらなく懐かしい。
大野さんは今は「抗がん剤を服用している」というので驚く。
なぜ免疫系の病気で?と思ったら、「抗がん剤っていうのは免疫抑制剤のことなんです」というので二度驚いた。
彼女に会うと自分の知らない世界のことをいろいろ教えてもらって、
こう言っては御幣があるがおもしろい。
大野さんの連載「困ってる人」、前回の第0回につづき、いよいよ第1回。
ひたすらに過激である。
http://www.poplarbeech.com/komatteruhito/index.html
    ☆       ☆       ☆
先日、高野本の読者で精神科医の方から「世界各地の精神障害者をルポしてもらえないか」というメールをいただいたのだが、自分は素人なのでそれは無理だと思うと断ったうえで、
野田正彰『狂気の起源を求めて』(中公新書)をオススメしておいた。
1980年、パプア・ニューギニアで現地の精神病患者を診察した異色のレポートである。
お勧めしたものの自分では読んでおらず、これはいかんと取り寄せて読んだ。
パプアでは西洋文明と接触するまで精神分裂病(統合失調症)はなかったという。
現地の患者はみな、大卒とか牧師とかプランテーション労働者とか、西洋文明の価値観を強く持った人たちで、どうやら西洋と伝統の二つの価値観のクレバスに落ちてしまった感じらしい。
なるほど、私が精神科医ならこういうアプローチがあるんだなあ。
残念。
あと、パプア人は西洋人が来るまで酒を知らず、したがって酒の飲み方もわからないため
ものすごく暴力的になるというのが印象的。
今はどうなんだろうか。

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Comment

  1. 秀と申します より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10_4_11; ja-jp) AppleWebKit/533.18.1 (KHTML, like Gecko) Version/4.1.2 Safari/533.18.5
    あまりにひどい精神神経科医?の一方的な要求に対して腹立たしく思います。私は精神科の専門では有りませんが、医師免許を有してそれで病院に勤務してご飯を食べています。あまりにも理不尽な要求だと思います。第一に、専門家ではない高野先生に「外国人の精神病を診断せよ」というのが無茶だと思います。以前、別な医師かもしれませんが、先生に 「なんか自由に適当な事やってていいですねー。うらやましいです」と言うような事をのたまった恥さらしの医師がいたという事ですが、コンゴ出発の準備からして早稲田大学の調査は周到な物です。こんなバカが同業かと思うと悔しいです。私は赤影やジャイアントロボやエヴァンゲリオンも好きなダメ医者ですが、先生の活躍を期待しています。頑張ってください。

  2. タカ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322)
    御幣>>語弊 ですね。

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    • RT : 今国会に提出された入管法改正案。大きな影響を受けるのは当事者の方々です。難民申請中の3名の方に、思うことやご意見を伺いました。 ウェブサイトには全文掲載しています。あわせてご覧ください👇 https://t.co/… ReplyRetweetFavorite
    • 単行本の原稿が終わったら急に本が読めるようになった。まだエピローグ書いてないから気を許す段階じゃないんだけど。でも久しぶりに読書の喜びを味わっている。 ReplyRetweetFavorite
    • 今まで野村監督に特に興味がなかったんですが、加藤さんの本を読んで、すごく好きになりました。人間味にあふれた策士というところ、でも言うことは決して奇をてらわないとか。あと、やっぱりサッチー、スゴい(笑) https://t.co/FrRQVs2IX8 ReplyRetweetFavorite
    • あ、そうだったんですね。名監督の知られざる一面を描いているし、著者ご本人の青春記風でもあり、『嫌われた監督』を彷彿させました。落合夫人とサッチー夫人もよく似てるし(笑)いや、面白かったです。 https://t.co/66kmDl74FN ReplyRetweetFavorite
    • 先月から自分の単行本原稿が佳境に入り、読書が全くできなくなっていた。他人の文章が頭に入らない。なんだけど、今日一息ついたあとで、なぜか加藤弘士著『砂まみれの名将 野村克也の1140日』(新潮社)を一気読みしてしまった。あまりにも自分の仕事と関係がなかったのがよかったのかも。 ReplyRetweetFavorite
    • 単行本を一冊書くのはエベレスト登山にも似ている。頂上に近づけば近づくほど一歩進むのが辛くなる。でもようやく『イラク水滸伝』本文の最終稿を書き終えた。あとはエピローグと参考文献、写真のセレクト、地図の作成、ゲラ校正、専門家への確認……頂上までまだけっこうあるな…。 ReplyRetweetFavorite
    • 文庫1位が久生十蘭!そそられる!! https://t.co/OWK4Bvakwo ReplyRetweetFavorite
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