日本はフライ級ミステリの宝庫?
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

独裁政権下の小説を読みつづけている。
最近はオレン・スタインハウアー『極限捜査』(文春文庫)を読んだいたのだが、
設定は面白いにもかかわらず(スターリン死亡直後の東欧某国の警察官が葛藤する)、
あまりに重厚でギヴアップしてしまった。
ディフェンスの巧いスーパーへヴィー級ボクサー同士の試合を見ているようだった。
もっと動きのあるものを!と思って、今年評判の日本ミステリ、
柳広司『ジョーカ・ゲーム』を読んでみた。
いやあ、ビックリした。
どうしてこんなに軽いのか。
重力がおかしくなったような錯覚がしたくらいだ。
もっとも最初こそ軽さに戸惑うが、軽快な打ち合いが小気味よい。
こういうフライ級の小説はもしかしたら日本の十八番なのかもしれない。
そうそう、これも大日本帝国という独裁国家におけるスパイミステリという意味で
今の私の読書の傾向に沿っている。
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