*

留守中はウンコと小便に任せた!

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


これから羽田、関空、ドバイを経由してテヘランに行ってくる。
現地でもこのブログの更新をするつもりだが(ネットはあるらしい)、
もしかしたらチャンスがなかなかないかもしれない。
その場合、今更新したページがしばらく残ることになる。
最悪の場合、10日間同じページが私の「意志」としてここに表示され、
初めて見た人は「高野というのはこういうやつか」と判断されかねない。
なので、慎重を期した結果、下ネタ2連発でいきたい。
まずは伊沢正名『くう・ねる・のぐそ 自然に「愛」のお返しを』(山と渓谷社)。
今年のみならず21世紀最大の奇書かもしれない。
なんせ、野グソとウンコの話だけなのだ。
しまいに、巻末袋とじで本人のウンコが土に返る様子がカラー写真で掲載されている。
ポルノ以外で袋とじになった写真は史上初だろう。
「エコ」という名の「えせエコ」が跋扈している今の世に、
ほんとうのエコロジーを突きつける傑作エンタメノンフである。
ぜひ「糞まじめ」に笑いたい。

もう一つは原宏一『トイレのポツポツ』(集英社)。
原さんといえば、『床下仙人』など奇想小説でブレイクしたが、
今回はもっとオーソドックスな連作短篇小説。
「小便をするときは男性器をもって前に」という部長の一言が引き金に一つの食品会社に大騒動が勃発する。
原さんならではの異様に詳しい麺業界の裏話は
ラーメン好きでなくてもドキュメンタリーとして楽しめるほど。
そして今回は中島京子か山本幸久かと思うほど、連作としての完成度も高く、
まさに逸品。
日本的会社と仕事をめぐってのやりとりなのだが、
不思議と私の『アジア新聞屋台村』を連想させる(とくに後半)。
私の不在中は、ウンコと小便で、素敵なひとときを過ごしていただきたい。

関連記事

no image

新企画持ち込みについて<関係者各位>

以前より私のところにはあちこちの出版社やテレビ制作会社・テレビ局より企画が持ち込まれているが、今年に

記事を読む

移住するなら盛岡がいい

先週の土曜日、盛岡市のMORIOKA TSUTAYAでのトークイベントに行ってきたのだが、盛岡の読書

記事を読む

no image

続・プロレスの罠

こんなことをしていてはイカン!と思いつつも またもやプロレス本を一気読み。 小島和宏『ぼくの週プロ

記事を読む

no image

上智大学で比較未知動物学?

 なぜか来年度の後期(10月〜2月)、上智大学外国語学部の非常勤講師を務めることになった。  大学で

記事を読む

no image

仏教の週末

以前、『トルコのもう一つの顔』(中公新書)とその著者である言語学者の小島剛一氏を紹介し、 たしか「

記事を読む

no image

「大人の遠足」速報

みなさん、お久しぶりです。 私は、アルジェリア領のサハラ砂漠で行われた「サハラ・マラソン」42.19

記事を読む

no image

アスクル人、カンヌを制す!?

『アスクル』に登場している沖縄の映画プロデューサーの井手君が上京、またうちに泊まっている。 毎晩、真

記事を読む

no image

野宿イベント

昔、上海の安宿で若い日本人旅行者に会ったことがある。 「前にどこかで会いましたよね?」と彼は言うが、

記事を読む

no image

草食系夫にも推薦

メディアファクトリーという出版社の編集者より、 森岡正博『草食系男子の恋愛学』という本が送られてき

記事を読む

no image

話題の書

本の雑誌杉江さんの「炎の営業日誌」を見てびっくりした。 http://www.webdoku.jp/

記事を読む

Comment

  1. komari-ko より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0; .NET CLR 2.0.50727)
    ほんとにずっとこの記事のままだ〜(笑)
    >私の不在中は、ウンコと小便で、素敵なひとときを過ごしていただきたい。
    はい、糞(ふん)ばります。→糞まじめに対抗してみました

  2. より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10.5; ja-JP-mac; rv:1.9.0.6) Gecko/2009011912 Firefox/3.0.6
    ここに私の小中高の同級生で、JTやらACやらR25やらで引っ張りだこのイラストレーター、寄藤文平著「ウンココロ」も水洗、もとい推薦しておきます。

  3. サイトウカツミ より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.0.6) Gecko/2009011913 Firefox/3.0.6
    意思の表明、ありがとうございます。
    お気をつけて!

へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑