横領ニモ負ケズ
公開日:
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

私の行くところトラブルありと人は言う。
今回もでっかいトラブルが起きた。
よりにもよって『メモリークエスト』発売直前、幻冬舎で管理局長(たぶん)が
9億円も横領していたことが発覚したというのだ。
もっとも幻冬舎の担当編集者に訊いたら、
「マスコミからの問い合わせがすごいけど、その電話を逆手にとって
『今度、面白い本を出すんですよ〜』と売り込みかけてます」という頼もしい返事。
さすが幻冬舎。
巨額横領もされるが、転んでもタダではおきない。
☆ ☆ ☆
笹沢教一『ニッポンの恐竜』(集英社新書)を読む。
日本の恐竜化石がどう発見されて、どう世の中をさまよったのかを記す珍しい本。
本書では国立科学博物館の小畠郁生先生も登場する。
なつかしい。私もムベンベ探検のとき、恐竜の専門家である小畠先生に話を聞きに行ったのだ。
「サハラ砂漠で、6000年前の恐竜の化石の一部が発見された」という報道があったので
それを訊ねると、「専門家でも骨の一部だけでは恐竜かラクダかわからない」と言われ、
「そんなに難しいのか」と驚いたことを思い出す。
本書によれば、1976年に発見されたエゾミカサリュウが間違って「ティラノザウルス科の肉食恐竜発見!」と発表されたとき、小畠先生が深く関与していたらしい。
化石は現物で動かないはずなのに、人間の手が触れると、まるで化石が生き物のように動き出す。
本書ではそんな驚くべき物語がいくつも記されている。
それにしても、私も「化石ハンター」になりたかった。
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