鳥籠
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

インド人作家、ヴィカス・スワラップ原作の映画「スラムドッグ・ミリオネア」がいいらしい。
私は原作の『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社)を読んで感嘆したのだが、
映画でもどうやらそれを忠実に再現している気配だ。
早く見てみたい。
だが、その前に忘れちゃいけないのは同じくインド人作家アラヴィンド・アディガが放った
英ブッカー賞受賞作『グローバリズム出づる処の殺人者より』(文藝春秋)。
同じように、インドの超格差社会の現実を、同じようにエンタメたっぷりに描いた傑作だ。
本書を読んで、なぜインドはあれほどメチャクチャなのに治安がいいのか
(少なくとも外国人が殺されるという事件は稀である)やっと理解した。
すべてはインド最高の発明「鳥籠」のせいだったのか。
それにしても、この2冊を読んでいると、つくづく思う。
背中にトゲがびっしり生えた変な魚なんかに、インド人が興味もつわけないよな、と。
関連記事
-
-
Low Positionの秀作3本
ドキュメンタリーの秀作を3本観た。 どれもLow Positionという制作グループのメンバーの手に
-
-
隣の芝生か岡目八目か
小田急沿線の町で、同姓同名の将棋指し・高野秀行五段、噺家の春風亭柳好師匠、その奥方のベーシストRさん
-
-
関野吉晴氏の映画とトークイベント
急ぎのお知らせ。 3月16日~29日、ポレポレ東中野にて、関野吉晴氏が主演(?)の映画「僕らの
-
-
震災のリアルを超える傑作
本屋大賞を受賞した『謎解きはディナーのあとで』という本を私はまったく見たことも聞いたこともなかった
-
-
大野更紗ができるまで
火曜日、『困ってるひと』が発売されて初めて大野更紗さん宅を訪れた。 思えば、彼女から「何か書きたい



Comment
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.5; Windows 98; Win 9x 4.90)
高野さん、鳥篭って何ですか? 気になります。
本は読むので(その前に知ってもガッカリしないので) 教えて
下さいよ。
AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; ja; rv:1.9.0.10) Gecko/2009042316 Firefox/3.0.10 GTB5
はじめまして。現在、ベトナムに住んでいる日本人です。
最近、帰国した方から譲られた本の雑誌バックナンバーで高野さんのことを知り、ハマりました!いまのところMY BESTは「野球の好きな視覚障害のエチオピア人」の話です。これからも高野さんの本を楽しみにしています。
ところで「グローバリズム…」はwhite tigerの訳ですよね?さすがブッカー賞、もう訳が出たのですね。日本で翻訳が出るかあぶないのですが、同時期に出たパキスタン人作家Mohamed Hanifの「A Case of Exploding Mangoes」も強力にお勧めです!最近はインド人作家の台頭が目立ちますが、パキスタン人作家もこれから絶対にくると思います。インドほどのパワーは無いかもしれませんが、パキスタン特有の「饒舌でお人好しでずる賢くてでもどっか抜けてて哀しい」感を日本の方々にも味わっていただきたいです。(実は前にパキスタンに住んでいました…高野さん、インドに入国拒否されているならパキスタンで英雄扱いかもしれませんよ!)