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サッカーファン強化合宿

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


高橋源一郎の小説『「悪」と戦う』(河出書房新社)を読む。
文学が成り立つ前提をとっぱらうというタカハシさんの手法がよく生きていて
なかなか面白い。
こういう方向の小説をもっと読みたいと思う。
     ☆       ☆         ☆
数日前から、四万十在住の山田先輩がうちに泊まっている。
彼はサッカーの大ファン。
若いころ、オリノコ川、アマゾン川、ラプラタ川を下って、ブエノスアイレスに出た。
ちょうどマラドーナがアルゼンチンでブームを巻き起こしたときだったという。
「テレビを見てもマラドーナのCMや映像、街を歩いてもマラドーナのポスターで、そこらじゅう、マラドーナだらけ。でもマラドーナのプレイを見るだけで、アルゼンチン中の人たちがみんな、わくわく、うきうきしていた。あんな体験は後にも先にもこれだけや」
とのこと。
山田さんはその後、アフリカの川を片っ端からくだりつつ、
金がなくなると、ロンドンやパリに出て働いた。
パリにいたときは全盛期のプラティニやジーコなど黄金のカルテットに燃え、
ロンドンにいたときはオランダのトータル・フットボールに夢中になったという。
そんな話を聞きながら、朝起きてから寝るまで、今のワールドカップの試合を見たり、
昔のワールドカップやチャンピオンズ・リーグのDVDを見たりして、
眠くなると眠り、腹が減ると、ご飯にふりかけをかけて食べるという生活である。

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Comment

  1. LP より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US) AppleWebKit/533.4 (KHTML, like Gecko) Chrome/5.0.375.70 Safari/533.4
    e-honの予約本に、こんな本が出てました。
    サッカーボールの音が聞こえる ブラインドサッカー・ストーリー
    平山譲
    出版社名 新潮社
    発売予定日 2010年7月16日
    予約締切日 2010年6月28日
    予定税込価格 1,470円
    ■おすすめコメント 
    緑内障による突然の失明が、大好きなサッカーを奪い去った──。絶望の淵から彼を救ったのは、音を頼りにボールを追う「もう一つのサッカー」だった。

  2. 高野秀行 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 6.0; WOW64; YTB720; GTB6.5; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30618)
    ご指摘ありがとうございます。
    知りませんでした。
    新潮社のサイトを見てみたら、私も何度か練習に参加したことのある
    「乃木坂☆ナイツ」の話みたいですね。
    ブラインドサッカーについての書籍はほかに
    岡田仁志『闇の中の翼たち—ブラインドサッカー日本代表の苦闘』(幻冬舎)があります。
    ほんとはいちばん先に私が書く予定だったんですがねえ…。
    盲人のサッカー以前に「サッカーのおもしろさがさっぱりわからない」という
    困難に直面してやめてしまいました。

  3. アジケト より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; InfoPath.2)
    あー、高野さん、我が家の世界一(?)の観客と一緒にW杯を観戦できればねー。サッカーの面白さ(興奮するポイント)はわかるんでしょうけど(笑)

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    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
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