*

名人級

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


 吉祥寺に出たついでに本屋にぶらっと立ち寄り、なんとなく大槻ケンヂの新刊『綿いっぱいの愛を!』(角川文庫)を買ってしまう。
 他にもいろいろ買ったのだけど、まずこの本を電車内で開いてしまい、家に帰ってからもついつい読み進めてしまい、結局そのまま読んでしまった。
 なんだろう、この、人を「〜してしまう」状態にもっていく力は。
 特に何が面白いというわけでもないのに、ついつい読ませてしまうのだ。
 もう、オーケンさんも名人・達人の域に入ってきたということだろう。
 
 名人っぽいところとは具体的にいうと、例えば一人称(オーケンさんの場合は「僕」)をめったに使わないとか。
 「私」という言葉を書きまくり、ときおり編集者から注意を受ける私(また使ってしまった)から見ると、ひじょうに感心する。一人称だけでなく、他の部分でも適当に書いていて無駄な部分は自然と省略されてしまっているのだ。
 
 この境地に、私はいったいいつたどりつけるのだろう。

関連記事

no image

原発君とインド人

今日も原発君は元気なようである。 原発を憎むとかえってよくないような気がして、 親しみをもたせて、心

記事を読む

no image

「大人の遠足」速報

みなさん、お久しぶりです。 私は、アルジェリア領のサハラ砂漠で行われた「サハラ・マラソン」42.19

記事を読む

no image

時間がない…

金曜日は長野で、前々から頼まれていたコンゴ&トルコ上映会を行い、 一泊して東京に戻ったのは土曜の夕方

記事を読む

no image

タカノゴダン来宅

先週は客人がぞこぞこうちにやってきて、中には泊っていく人もおり、 「民宿&居酒屋タカノ」状態だった。

記事を読む

no image

甲子園が割れた日

中村計『甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実』(新潮文庫)を読む。 松井のこの出来事のとき、

記事を読む

no image

ソマリの海賊に実刑判決!

ソマリの海賊裁判。 世間的には微妙に話題になっているこの裁判、私は一回だけ傍聴することができた。

記事を読む

no image

3回目のボリショイ・サーカス

「本の雑誌」9月号の特集「エンタメ・ノンフ座談会」のゲラを校正する。 これがメチャクチャおもしろい。

記事を読む

究極の野菜はフグ野菜

今年も年初から忙しくなかなか読書の時間がとれないけれど、 読んだ本は当たりが多く、充実している。

記事を読む

no image

日本の路地を旅する

いやあ、昨日は日本がカメルーンに勝って驚いた。 誰がどう見てもダメだというチームが勝ってしまった

記事を読む

no image

月刊日本語

昨日あたり発売になった「月刊日本語」の巻頭インタビューに私が登場させてもらっているが、 それとは別

記事を読む

Comment

  1. komari-ko より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0; .NET CLR 2.0.50727)
    私からしたら、お2人とも似た印象です。
    なのでとうにたどり着いてると思いますよ〜。
    どこが似てるのか?というと、
    私は大槻ケンヂさんのバンドを好んで聞いてたわけじゃないけど、その文章には共感を得られるのか、どんどん吸い込まれて読んでしまう。
    そして私は高野さんのように珍獣好きでも辺境好きでもないのに、その文章にはどこか共感できる重いがあって、ぐいぐい吸い込まれて読んでしまう。
    ね?似てるでしょ?

  2. KJM より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    オーケンの本と、高野さんの本は、自分の本棚では同じエリアに収納してあります。

  3. fjsm より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; Q312461; GTB6)
    ほんとほんと。大槻さんは絶対「私の文章修行時代」みたいな話は書かないでしょうが、そんな時代あったのでしょうかねぇ。才能のある人だと思いますし、僕も大槻さんの本は大好きです。
    そんな大槻さんが大絶賛なのが高野さんじゃないですか〜。お二人の対談とか読んでみたいです。一緒にお仕事されないんですか!

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年9月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑