柏レイソルに敗れる
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
ソマリランドの命綱とも言われるベルベラ港の出身のソマリ人がいると聞き、
その人の住む柏まで会いに行く。
指定された場所は、「HUB」というアイリッシュ・パブ。
外国人の集うところだとのことだったが、
同時にそこは柏レイソル・サポーターの集うところでもあった。
しかも間が悪いことに、私たちが店に入ったと同時に
柏とモンティディオ山形の試合が始まってしまった。
「ソマリランドの独立を支持していますか?」なんてまじめに訊いているのに、
そこで「おおおおーー!?」というものすごい歓声。
相手の声なんか聞こえない。
思わず、私もアブドラヒさん(そういう名前の人だった)も大型のテレビスクリーンを振り返ってしまう。
柏のFWが決定的なチャンスを逃していた。
「あー、おしい…」
「あれで、入れなきゃダメでしょ」
「で、何の話だっけ?」
「えーと、なんでしたっけ?」
もうその前に話していたことが遠くなってしまっている。
その繰り返し。
ていうか、柏のゴール裏みたいなところで、
なぜ私たちだけがソマリランドの話をしているのか。
柏レイソルは今日、山形に敗れたが、
私は柏に敗れた気分であった。
関連記事
-
-
メモリークエスト締切り間近!
最近すっかりブログでの案内を忘れていたが、 web幻冬舎で連載中の企画「メモリークエスト」は まだ依
-
-
霊感はない、ただ見えるだけ
工藤美代子『もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら』(幽ブックス)という本をもらっていたこ
-
-
芳醇そば焼酎 みんがらーば
高田馬場のミャンマー料理屋「ミンガラバー」で、 ノンフィクション作家の西牟田靖君とまだ新婚の奥さん
-
-
サッカーファン強化合宿
高橋源一郎の小説『「悪」と戦う』(河出書房新社)を読む。 文学が成り立つ前提をとっぱらうというタカ
-
-
新連載「謎の独立国家ソマリランド」本日開始!!
web本の雑誌にて、新連載「謎の独立国家ソマリランド」が始まりました。 この連載はもちろん本にするた
-
-
『メモリークエスト』本日発売
まずはお知らせ。 『メモリークエスト』(幻冬舎文庫)、いよいよ本日発売です。 アマゾンや地方では明
-
-
エンタメ・ノンフ的映画の真髄
「パパは出張中」と「アンダーグラウンド」で史上唯一カンヌを2回制した映画監督エミール・クストリッツァ
- PREV :
- リキシャ・アートは語る
- NEXT :
- 『ルポ アフリカ資源大国』
Comment
AGENT: DoCoMo/2.0 N706i(c100;TB;W30H20)
「柏レイソル」。
「ズ」は、なしでお願いします。
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 6.0; WOW64; YTB720; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30618)
「レイソルズ」じゃなくて「レイソル」ですね。
ご指摘ありがとうございます。
直しました。
野球ファンなので、つい、複数形にしてしまうんです。
ちなみにアブロドラヒさんもアメリカ在住20年の人なので、
サッカーより、その後にちらっと映った巨人対中日戦のほうに
興味を示していました。
AGENT: Opera/9.27 (Macintosh; PPC Mac OS X; U; ja)
初めてのコメントで「指摘」だけ。
大変失礼しました。
半年前からタカノさんの大ファンです。
勝手に友達と思っています。
これからも頑張ってください。
いつかタカノさんにお仕事を発注したいと
思っております。
では失礼します。
JO