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カメの肛門問題

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

水泳仲間(というか先輩)で獣医師のKさんが
ときどき私の本を読んで、専門家の立場から意見を言ってくれる。
それがなかなか興味深い。
前に聞いたのは、『幻獣ムベンベ』について。
猟で殺されたケモノはたいてい目を見開いているという部分で、
「突然の死の場合は目を見開くのか」というようなことを私が書いているが、
Kさんによれば、動物の目は構造上、死んだとき瞼が開くそうである。
「犬や猫が死んだときも目が開きっぱなしになるので、
飼い主さんが来る前に一生懸命閉じるんです。
中には瞬間接着剤でまぶたをくっつける獣医師もいますよ」
そうだったのか。
昔うちの犬が死んだとき、目を閉じていたと思ったが、もしかしたら親が
まぶたを閉じたのかもしれない。
知りませんでした。
ところで、最近聞いたのは、『怪獣記』。
ガイドのエンギンが「カメの肛門をつついていじめている」と書いたが、
Kさんによれば、
「カメには肛門はありません。正確にいえば、爬虫類に肛門というものはないんです。
総排泄口といって生殖器も肛門も兼ねた穴があるだけです」
なるほど。カメに肛門はなかったか。
ではこう書くべきだったか。
「エンギンがカメの総排泄口をつついていじめている」
なんだか、本格的に凄惨ないじめのようだ。
そう言ったら、Kさんは一言。
「カメの甲羅の後ろはそもそも尻尾が出てくる部分で、総排泄口ではないですよね」
うーむ。むずかしい。
というわけで、「カメの肛門」はドリフ的なギャグとして、勘弁してくださいということなのである。

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Comment

  1. dandy_keijikun より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US) AppleWebKit/530.5 (KHTML, like Gecko) Chrome/2.0.172.37 Safari/530.5
    高野さんファンの会社員です。
    年末くらいに、ラゾーナ川崎のMARUZENで高野さんのコーナー(現在は撤去)を発見し、まず『放っておいても明日は来る』を購入して読んでから、そのたぐいまれならぬ行動力やアクシデントに魅了され、すっかり高野さんの著書にはまってしまいました。
    その後『幻獣ムベンベを追え』 『怪獣記』 『アヘン王国潜入記』と楽しく読ませていただいています。(全冊読破します)
    あまりに面白いので、友人にも『放っておいても明日は来る』と『怪獣記』をもう1冊購入してプレゼントしました。
    僕は、会社員という完全に社会に属す人間ですが、こういう生き方ってのは「完全にあり」だなー。と思います。
    奥様も読んでいて「あこがれるなー」なんて言っています。
    今後も頑張ってください。

  2. TK より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.0; Trident/4.0; YTB720; GTB6; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729)
    水泳の練習後、温泉につかりながら重箱の隅をほじくるようなつまらない突っ込みをちゃんと覚えていてくださったのですね。さすがにアルコールは抜けている時間か…。
    今夜はOコーチのレッスン日だから、ジョー高野がレフリーをしている、本の雑誌2月号プロレス座談会を見せに行きます。
    もうひとつ、「総排泄口」よりは「総排泄孔」の方がいいかな。

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    • 朝、「今日は日曜日」という刷り込みがなされ、何度「いや、今日は休日だけど月曜なんだ」と言い聞かせても、すぐに「今日は日曜」気分に戻ってしまう。ラジオ出演も明日の夜だと思ってしまう。危険。 ReplyRetweetFavorite
    • RT : そんな高野秀行さんが明晩、「荻上チキセッション22」に登場。お相手は同じ早大探検部の角幡雄介さん。角幡さんはかつて『中動態の世界』を熱く書評してくださいました。ケアひらは探検によく似合う? 「探検家は辺境の地で何を見るのか~新型コロナウイルス… ReplyRetweetFavorite
    • ちょっと私の「間違う力」に似てるんですよねえ。 https://t.co/gjnkBOV8dZ ReplyRetweetFavorite
    • 『やってくる』についてツイートしたら、友だちから「あれ、意味がよくわからないけど面白いよな!」と連絡が来て、1時間以上も電話で喋ってしまいました。いろんな人のところにやってきてるみたいです笑 https://t.co/aQDAxRidt7 ReplyRetweetFavorite
    • 奥村さんやザイール人ミュージシャンの生き方や音楽は「やってくる」で言われていることに近いような気がしてならない。少なくとも同時並行で読んでもいっこうに違和感がなかった。 https://t.co/67hq52qI9Z ReplyRetweetFavorite
    • 正直言って著者が語ることは半分以上わからないのだが、それでも面白くてちょっと笑ってしまう感じは、かつてオートポイエーシスを読んだときの感覚に似ている。今生きている世界の前提を地面から丸ごとひっくり返しにかかるような感覚。 https://t.co/SnNzOfUfLs ReplyRetweetFavorite
    • もう一冊は郡司ペギオ幸夫著『やってくる』(シリーズ ケアをひらく 医学書院)。帯のあおり文句が強烈で「これを買わずして何を買う」という気持ちになって買ってしまったが、読んでみたら想像したものとは全然ちがったのにすごく面白かった。そもそも何を期待していたのかも忘れてしまった。 ReplyRetweetFavorite
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