*

混沌とするタイのお化けワールド

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

ついに『謎の独立国家ソマリランド』の見本があがってきた!
パネルも本の装丁もむちゃくちゃかっこいい!

…と感激で、今すぐ神保町の本の雑誌社に駆けつけ、
杉江さんと本文レイアウトのカネコッチと祝杯をあげたいところなのだが、
私はなぜかバンコクにいる。

しかも、タイのお化けについて訊いて歩いているという間抜けさだ。

今夜も「タイの荒俣宏」と勝手に私が呼ぶお化け評論家のレストラン「ザ・ショック」という店に行き、
「カオ・パッ・ピー(心霊チャーハン)」を食べようかと思っているところ。

リアル北斗の拳ソマリアとはあまりに落差が激しい。
機関銃を持った民兵も妖怪に見えてくる。

タイのお化けワールドは混沌としている。
心霊と妖怪のはっきりした区別もないし、タイ人はものすごくお化けを怖がるいっぽう、
コメディのお化け映画も数多くあり、みんなで爆笑しているし、
かと思えば、地方の村では妖怪を警察が捕獲しようとしているニュースも流れる。

あまりに混沌として、なんだかわからない。
それに妖怪国家ソマリアが重なり、私の頭はさらに混迷を深めている。

ああ、いったい何をやってるんだろう……。

関連記事

no image

誘拐は困る

アフリカ・中東の紛争地取材の超ベテラン、大津司郎さんに8年ぶりくらいで会う。 もう60歳くらいのはず

記事を読む

no image

2011年のベスト本はもう決まった!

数日前、増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)を読了した。 これほど面白くて

記事を読む

no image

「困ってる人」書籍化プロジェクトX

私がプロデュースしている大野更紗「困ってるひと」の連載もそろそろ最終回近い。 いよいよ書籍化の相談を

記事を読む

no image

西南シルクロード文庫あとがき

いよいよ、あの『西南シルクロードは密林に消える』が講談社から文庫化される。 校正ゲラを読み返したが、

記事を読む

no image

七夕に願いを

本日やっと東京の自宅に戻った。 ハルゲイザ(ソマリランドの首都)はさすがに遠い。 →ジブチ→アジスア

記事を読む

no image

インタビューされる方は楽だ

「イングリッシュ・ジャーナル」誌のインタビューを受ける。 以前、私はこの雑誌で仕事をしていたことがあ

記事を読む

no image

花のズボラ飯

久住昌之原作、水沢悦子画『花のズボラ飯』(秋田書店)を読む。 グルメ漫画を読んで、共感したのも初め

記事を読む

no image

アジアの匂い

2泊3日で、熊本と鹿児島の高校に講演に行ってきた。 今年が3回目。これまで群馬、新潟、香川、愛媛に行

記事を読む

no image

友人がちゃんと難民になる

フランスへ逃れてから難民申請をしていたルワンダ人の友人から 「やっと正式な難民認定を受けた」という喜

記事を読む

no image

ヤノマミ読書VSサバイバル登山家

忙しくてなかなかブログの更新ができなかった。 そうそう、本の雑誌3月号の「冒険本・探検本特集」でと

記事を読む

Comment

  1. 義理の弟 より:

    もっと分からないのは、仏教では死んだら霊になるという教えは無く、妖怪も存在しないことになっているのに「出る」と皆さん喜ぶところです。
    ただ、皿が割れたら「ピーがいたずらした」で済ますことも出来るということは、霊とか妖怪は社会の潤滑油なのかもしれません。

  2. アハマド より:

    多分もう読まれているかと思いますが、念のため参考図書を挙げておきます。

    怪奇映画天国アジア 四方田犬彦著 白水社

    分量としてはタイが最も多いです。映画の分析がほとんどですが、妖怪/オバケの側から見た東南アジア社会論の趣きもあります。

  3. 高野 秀行 より:

    >義理の弟さん、

    今回聞いたところでは、タイでは本来の寿命に至る前に事故や殺人など不慮の事故で亡くなった人の霊が行き場を失ってピーになるという説明でしたね。

    妖怪系については不明です。

    >アハマドさん、

    その本は知りませんでした。帰国したら読みます!

    • アハマド より:

      私は四方田さんのファンなので取り上げられている映画を見ていなくてもすらすら読めましたが、事前にタイのホラー映画を何本か見ておいたほうが読みやすいかもしれません。ちなみに私が住んでいるインドネシアでもお化け映画は本当に多いです。

      あと、これはお化けネタではありませんが、先日インドネシアでカートが大量に処分されました。アラブ人観光客が持ち込んだもののようですが、国家麻薬局が中毒性があるとして焼却処分にしたようです。
      http://www.youtube.com/watch?v=cswenf9VTIk&feature=youtube_gdata

      カートをこよなく愛する?高野さんなら泣いて悲しむかもしれないと勝手に想像したので、この場を借りて報告いたします。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年10月
     12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
PAGE TOP ↑