映像をだらだら見れた!
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
久しぶりに会った年長の友人の勧めでtwitterを半年ぶりに再開した。
ブログとの棲み分けができるのかわからないが、しばらくやってみることにする。
で、ツイッターの方ではちらっと書いたのだけど、
最近、今更ながらウディ・アレンにはまっている。
二十代のころ、代表作を4,5本観たはずだが、当時は面白いともつまらないとも思わなかった。
まるっきり印象に残っていない。
私はもともと映像が苦手で、頑張らないと観ることができない。
「面白い」と思う映画やドラマでも、一時間を過ぎると苦痛になり、時計を見て
「あと、40分くらいかな」と計算して我慢するのが常だ。
テレビのバラエティやドキュメンタリーでも同様。
とにかく向こうのペースで一方的にやられるのが辛い。
ところがウディ・アレンだけはいくらでも観ることができる。
だらだらと一時間、二時間と観てしまう。
ストーリーは正直言って二の次で、ただ場面を観ているだけで十分楽しんでしまう。
映像をだらだら見るなんて、生まれて初めての感覚だ。
理由の一つは役者の演技がすごくリアルなこと。
たいていはバカバカしい、リアルからほど遠いコメディの設定なのに、
役者の演技はまるでドキュメンタリーかと思うほど、本物っぽい。
どんな役者でもそうだから、これはウディ・アレンの脚本と演出のせいだろう。
さらにユーモアあふれる会話。
今朝観ていた「スリーパー」は、1970年代の男が冷凍保存され、200年後の世界で目覚めるという話だが、解凍して起こした医師に、ウディ・アレン扮する主人公は怒る。
「200年も経ったって? 冗談じゃないよ、アパート借りっぱなしだよ。家賃どうすんだよ?」
こういう場違いに小市民的かつシュールなギャグは、ウディ・アレン映画の至るところに登場するが、毎回お約束のように笑ってしまう。
野中英次の名作「魁!クロマティ高校」にも通じる。
それでいて、ウディ・アレンはパントマイムも抜群にうまくて、
慌てふためいてドタバタしたり、ふらふらになったり、ぐにゃぐにゃになる演技は
図抜けている。
…て、今更ウディ・アレンの映画について、これほど熱く語っているのは私くらいじゃないか。
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いやいや、ここにもいますぞ。ウッディー・アレンをあつく語る者が。
急いで口で吸え!
AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; en-US) AppleWebKit/534.10 (KHTML, like Gecko) Chrome/8.0.552.224 Safari/534.10
そうそう、「ウディ・アレンのバナナ」にありましたね!
お、「スネークマンショーじゃん!」と思ったのですが、
もしかしてこれが「原典」なんでしょうか?