*

2010年小説ベストテン

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


恒例(だったっけ?)の年間枚ベストテンを発表したい。
私が今年読んだ本だから、出版年はバラバラだ。
順位をつけるのはひじょうに難しいが、こういうものは順位を無理にでもつけないと面白くないのでつけてみた。
1位 ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイクガイド』シリーズ(河出文庫)
  せっかくの「新刊ラマダン」がこのシリーズのおかげでめちゃっくちゃになってしまった。
2位 アニー・プルー『ブロークバック・マウンテン』(集英社文庫)
  文体を思い出すだけで戦慄する。
  
3位 島田荘司『占星術殺人事件』(講談社文庫)
 島田荘司のミステリに熱中した一年だった。中でも一つ選ぶとすればこれ。世界文学級の作品だ。
4位 レヴェッカ『おっぱいとトラクター』(集英社文庫)
 なぜか集英社文庫には意表をついて外国文学の名品がある。エンタメとルポの見事な融合。
 
5位 オルハン・パムク『私の名は紅』(藤原書店)
 もう少し短ければなあ。イスラムについて考えるのに必読。
6位 伊藤計劃『虐殺機関』(ハヤカワ文庫)
  日本人作家がこれを書いたということが衝撃。
7位 窪美澄『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)
 タイトルで損をしているが、現代日本の最先端を感じさせる小説である。
8位 中島京子『小さいおうち』(文藝春秋)
 もはや「殿堂入り」した作家をベストテンに入れていいのか考えてしまうが、やっぱり入れたい。
9位 平山夢明『DINER』(ポプラ社)
 こんな由緒正しく瑞々しいハードボイルドを平山さんが書くとは思わなかった。
10位 好村兼一『伊藤一刀齋』
 剣豪小説の新しい流れを感じた。著者自身が剣豪で、その生活感がとてもリアル。

関連記事

no image

biiru no aji

Sakenomi ni totte,atsui kuni de naniyorimo nom

記事を読む

no image

シャンの新年って何だ?

以前、ミャンマーのシャン人(自称「タイ」)の独立運動を手伝っていた関係で、 今でもシャン・コミュニ

記事を読む

no image

NHKに出演して仰天

金曜日、NHK-BS1の「ほっと@アジア」という番組に出演した。 テーマは「UMA(未確認動物

記事を読む

no image

ソマリの海賊に実刑判決!

ソマリの海賊裁判。 世間的には微妙に話題になっているこの裁判、私は一回だけ傍聴することができた。

記事を読む

no image

エンタメ・ドキュメンタリー

フジTVの『フジテレビ批評』という番組に出演した。 テーマは「エンタメ・ノンフとエンタメ・ドキュメン

記事を読む

no image

帰国しました

予定通り、本日インドシナ旅行より帰国しました。ヴェトナム、カンボジア、ラオスの旧仏領三国をメコン沿い

記事を読む

no image

私が原稿を書けないワケ

今週は原稿を一行も書けていない。 毎日パソコンに何時間も向かっているのに。 もともと苦しまずに原稿が

記事を読む

no image

スイスのFWはコンゴ人

昨日、本の雑誌の杉江さんとスーダンのアブディンと打ち合わせをし、 寿司好きのアブが、寿司アレルギーの

記事を読む

no image

腰痛探検家

11月に集英社文庫から刊行予定の『腰痛探検家』のゲラが出たので、 久しぶりに読み返したところ… あま

記事を読む

no image

神奈川の市長問題

ニッポン放送のラジオ番組「ドリームランナー」に出演(収録)する。 パーソナリティは横浜の中田市長。

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年3月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
PAGE TOP ↑