2013年小説ベストワン決定
公開日:
:
高野秀行の【非】日常模様
風邪は治ったものの今度は咳がひどく、声もがらがら。
とくに夜になると咳が止まらず苦しい。
朝起きてもぐったり疲れている。
そんなわけで連休中はうちにこもって本を読んでいた。
すごかったのは乙川優三郎『脊梁山脈』(新潮社)である。
冒頭数行読んだだけで「ものがちがう」と思った。
杉江さんも言っていたが、昭和の文士かという文章だ。
登場人物の会話も、あまりに整っていて昔の映画(例えば小津安二郎とか)の台詞のようだが、
そこに強烈なリアリティがある。
自分も戦後まもない頃、汽車で復員しているような錯覚におちいる。
この小説については多くの人が書くだろうから私がとやかく言う必要はない。
ただ、こんな小説を読んでしまうと他の小説がまったく読めなくなる。
自動的に2013年小説ベストワン決定である。
関連記事
-
-
ソマリアのワークショップで怪しまれる
日本エネルギー経済研究所・中東研究センターが主催するソマリア問題のワークショップというやつに行ってき
-
-
Arrived at Amman
sakki yorudan no anman ni tsuita. shiria no damasu
-
-
炎のジプシー・ブラス
ルーマニアを代表するロマ(ジプシー)ブラス、ファンファーレ・チォカリーアのドキュメンタリー映画『
-
-
テレビ川柳師・ナンシー関の秀逸な評伝
読書運というものがあって、読んでも読んでも面白い本に当たらないときもあれば、手にする本がことごとく面
-
-
アイスランドの陰鬱極まりない五つ星ミステリ
土曜日、「王様のブランチ」で「みらぶ~」が紹介された。『舟を編む』で本屋大賞を受賞した三浦し
-
-
芳醇そば焼酎 みんがらーば
高田馬場のミャンマー料理屋「ミンガラバー」で、 ノンフィクション作家の西牟田靖君とまだ新婚の奥さん
-
-
溝口敦『暴力団』は入門書にして名著
タイトルからして素晴らしい。溝口敦の『暴力団』(新潮新書)。 「暴力団のいま」でもなければ「ヤクザ
-
-
佐藤圭作監督『人間椅子』
私の学生時代からの数少ない探検部以外の友人である佐藤圭作が、 今度、商業映画監督としてデビューする
- PREV :
- ぶったるんでるのか、それとも…
- NEXT :
- いわゆる「エア取材」