炎のジプシー・ブラス
公開日:
:
高野秀行の【非】日常模様
ルーマニアを代表するロマ(ジプシー)ブラス、ファンファーレ・チォカリーアのドキュメンタリー映画『炎のジプシー・ブラス』を観た。
実は2,3年前にも観たことがあるのだが、当時はジプシー・ミュージックを全然知らなかった。
今観ると、エミール・クストリッツァ『アンダーグラウンド』でも使われて有名になった「カラシニコフ」や「メセチナ」といった曲も普通に演奏されているのに驚く。
映画はどこまで事実で、どこまで作りなのかわからないが、そんなことはもはやどうでもいいのだろう。
結婚式に呼ばれて演奏に出かけるとき、トランペットやチューバといった楽器をむき出しのまま
車の屋根に積んでひどい泥濘の道をめちゃくちゃに揺られながら出かける。
ヨーロッパツアーでは移動のバスの中でみんなで「口三味線」で練習し音を合わせていく。
村の教会は十字架が傾いている。アヒルやガチョウが走り回り、人々は鉄道の線路を道代わりに歩く。
まるでクストリッツァをパクッたようだが、クストリッツァがジプシーの音楽と生活を手本に映画を作っているわけだから
当然と言えば当然だ。
とにかく、この自由さがなんとも言えない。ルーマニア、行ってみたいなあ。
関連記事
-
-
別ジャンルで2つ上がる
「本の雑誌」2008年1月号が届いた。 2007年度ベスト10に『怪獣記』が6位にランクイン。 昨
-
-
続・「クレイジージャーニー」とすしざんまい
昨日、ブログを書いたあと修正しようとしたけど、私のIT力の限界か、二度とログインできなかった。
-
-
ペルシア猫を誰も知らない
イランのクルド人監督バフマン・ゴバディの『ペルシア猫を誰も知らない』を渋谷ユーロスペースで見た。
-
-
『メモリークエスト』見本とどく
初めてのことだが、2日連続で新刊の見本がとどく。 今度はお待ちかね、『メモリークエスト』。 カバー
-
-
辺境ミステリの醍醐味
私はついこの間まで「辺境作家」と名乗っていたくらいの辺境好きだが、年を追うごとにその度合いがど
-
-
イスラム飲酒紀行・イスタンブール篇
昨日、毎日新聞夕刊の「新・幸福論」というコーナーのためのインタビューを受ける。 といっても、担当記
Comment
ルーマニア、ローマニア、アレキサンダー大王、ナディア・コマネチ、ブラド・ツェペシュ、ドラクール伯爵、串刺し公、ドラキュラ、おいらも行ってみてぇ。
ロマ映画の名作「ガッジョ・ディーロ」はご覧になりましたか?
ここでもロマ・ミュージックが
すごく重要なものとして聞けます
もちろん「黒猫・白猫」もすばらしい。
最初に見たとき、「アンダーグラウンド」との
あまりのギャップに
「ドリフかよ!」と突っ込みました。名作です!
>よっしいさん、
「ガッジョ・ディーロ」、知りませんでした。
ロマ音楽は広くて深い。私はまだまだ入口でうろうろしている感じです。
Amazonのレビューで見ると、すごく面白そうですね!
早速注文してしまいました。
観るのが(聴くのが)楽しみです。