尺八の系譜〜竹保流尺八宗家 酒井松道リサイタル〜
公開日:
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最終更新日:2012/05/25
今日のお仕事
2年ぶりにコンサートの企画・運営に携わることになった。
最後に開いたのは、2006年のモーラム・イン・ジャパン。
マレーシアの観光省や、文化伝統芸術省から後援をとりつけ、モーラム(Mohram)というマレーシアの一流ミュージシャンを招聘した。おかげでいろんなネットワークができ、マレーシアのブランドBONIAの日本総代理店をやっているリドンのS社長や、マレーシアの急成長ジュエリー、バウシュ・ケ・ジャパンのT社長とも仲良くなった。
子供が生まれたときは、このブログをみたマレーシアのミュージシャン、スタッフたちからもお祝いメールをもらい、予想外の出来事に感動してしまった。
その後、ビジネスモデルの再考や、自分自身が出版や広告の制作に専念したいこともあって、以来コンサート関係の仕事は主催、請負も含め封印していたのだが、ひさしぶりに企画・制作で、ある尺八演奏家のリサイタルに関わることになった。
その人は、酒井松道という。
大正6年、1917年より大阪で続く、竹保流尺八の三代目宗家だ。
出会いのきっかけは、邦楽ジャーナルという和楽器情報誌の取材だった。その頃の私はすでにライター、編集業務に舵を切っていたが、インタビューを終え、雑談をする中で、経歴として今までのことをお話ししていた。
竹保流の尺八は、京都の明暗寺という虚無僧寺に伝わる尺八の曲など、虚無僧時代の「本曲」(ほんきょく)と言われる楽曲をルーツにしており、虚無僧自体は、明治政府によって禁止されたが、創流した初代宗家は、それら本曲の系譜をもつ伝承者を訪ね歩き、曲を修得していた。長男である二代目が病に倒れ、三代目を継承した松道氏もまた、明暗寺の本曲、さらには明治政府につぶされるまえの、旧明暗寺の本曲を伝承者から直接伝授されている。
持ち曲の殆どが、伝承者をたどれる、いわば「尺八の系譜」を持った貴重な奏者なのだ。
お話を頂いたとき、正直コンサート業務から退いて時間も経っているし、どれだけお役にたてるのか分からないので、お断りしようと思っていた。
しかし、竹保流という関西メインの流派に、「山椒は小粒でピリリと辛い」と同じ、力強さを感じてしまい、また、リサイタルではきちんとしたパンフレットを制作して、来場者の方々に竹保流や、尺八本曲に関する情報を提供したいという事務局側の意向も、本作りに携わる人間として魅力に思え、つい引き受けてしまった…。
しかも、このコンサート、文化庁主催の第63回芸術祭参加公演に選ばれてしまった。。。
責任重大だ。。。
酒井松道尺八リサイタル
尺八の系譜
日時:2008年10月23日(木)
開場18:00 開演19:00
場所:銀座 王子ホール
地下鉄銀座駅A12番出口徒歩1分
料金:3000円(全席自由)
曲目:明暗真法流別傳 秘曲 鹿之遠音曲
布袋軒初傳 秘曲 鶴之巣籠
明暗真法流 高野山法師御作 秘曲 観月曲/秘曲 第二観月曲
諸井誠作曲 竹籟五章(改訂版初演、松籟五章)
演奏:竹保流尺八三代目宗家 酒井松道
主催:竹保流尺八宗家事務局
公演:コジマ録音 虚無僧研究会本部 邦楽ジャーナル 明暗寺虚竹禅師奉讃会(50音順)
企画・構成:有限会社AISA
問い合わせ:有限会社AISA 042-483-1740/竹保流尺八宗家事務局 072-991-9008
竹保流尺八公式ウェブサイト
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