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濁った水たまりで釣りをする

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

アブディンから電話がかかってきた。
彼は結局、身重の奥さんと北九州に「疎開」した。
スーダンの実家からあれこれ心配されてノイローゼ気味だったし、
東京が放射能汚染騒ぎになってしまったし、
疎開は彼にとってよい選択だっただろう。
江戸川区の海沿いにはスーダン人コミュニティがあったが、
地震後、「みんな、震え上がって、着の身着のままで国に逃げ帰った」そうだ。
江戸川区はダルフールかっていうの。
いっぽう私は「おもしろおかしいことをブログに書きまくっていたらアクセス数がどーんと上がった」と言ったら、彼は大笑いした。
「スーダンのことわざでいう、『濁った水たまりで魚を釣る』だね」
てっきり「火事場泥棒」とか「漁夫の利」みたいな意味かと思って腹を立てかけた。
なんせ、別にそれで儲けているわけではない。
「いや、そういう意味じゃない。きれいな川がなくて濁った水たまりしかなくなったとき
釣りをすると釣り針が見えにくいから魚がよくかかる。つまり、困難なときに
それをなんとか利用して、うまくやるって意味だよ」
そうか。いちおう、褒められているのか。全然そんな気はしないが。
私としては、濁った水たまりがあったらのんびり釣りなんかしてないで、
投網をバッと投げ、一網打尽にしたいと言ったら、
「高野さんはやっぱり悪い人だね」とまた笑われた。
アブディンの子供は逆子なので、今日帝王切開で出産だという。

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Comment

  1. spanner より:

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    アブディンさんは会った事はないけどすごく親しみを感じます。
    地震も一大事だけど出産も一大事。
    赤ちゃんがオギャーって生まれて来たときのことを想像しただけで、勝手に笑顔になってます。
    母子共に元気な出産を祈ってます。

  2. NYPD より:

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    3ヶ月ほど前にミャンマーで地震が起きるかもと危惧していたら、今朝の新聞にミャンマーのシャン洲でM6.5の地震が発生したと報じられていました。
    わずか2ヶ月余りの間にニュージーランド、東日本、そしてミャンマーと自然災害というには、余りにも発生し過ぎじゃないかと思うのです。
    こんな疑問を抱くようになったのは「G.E.Q」柴田哲孝 著を読んだからです。
    大国が保有する核兵器は、使用すれば痛み分けになる為、あくまで抑止力としてしか効果を発揮できませんが、自然災害に見せかけた人工地震であれば、震災後、人道的救済という大儀を掲げて被災国に乗り込み、恩を売って民衆につけ込んだ挙句、属国にしてしまうという目論見が見え隠れします。
    ミャンマーが近い将来、中国の属国になるのではないかと心配です。

  3. 上智生 より:

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    先生お久しぶりです。
    アブディンさんなつかしいですね。
    大きなノボリを教室に持ってきて対談してたのを思い出しました。
    ところで、今スーパーではミネラルウォーター2Lと間違えて「大五郎」を買っていっちゃう人が続出してるそうです。
    スーパーでレジ打ってる友人が言ってました。
    みんな満足そうな表情らしいです☆

  4. 高野秀行 より:

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    間違えて「大五郎」!
    心洗われるようないい話です。

  5. k より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.0; Trident/4.0; FBSMTWB; GTB6.6; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30618; .NET4.0C; AskTbUT2V5/5.9.1.14019)
    高野さんに政治的な事柄を申し上げるのも恐縮なのですが、、、
    東電と原子力産業の利権体質については御存じですか?
    それから、現地で被爆しているのは東電の社員などではなく、
    孫請け会社の社員であることを、、、
    原子力のある地方都市に生まれ、かの地で家族が議員をしている身から申し上げますが、
    東電は原子力を推進するために、あの手この手で地方に金をばらまいています(議員も含む)。
    原子力は国策ですから、当然、そこには地方の保守系議員がからんできます。
    莫大な金額が動くのです。
    停電騒ぎも、いいですか。
    原子力推進のプロパガンダです。
    原子力の稼働率を下げて、火力、水力の稼働率を上げれば、
    停電はおきません。

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    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
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