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ユーラシア大陸を超えて

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

ポルトガルのリスボン在住の言語学者・小坂隆一氏と
二時間以上、Skype(スカイプ)で話をする。
スカイプというのはパソコンを使ったIP電話の一種で、
互いにスカイプに加入しているとどこからでも無料で何時間でも話せる。
小坂さんのことは、今はもう休刊になった「恋するアジア」という雑誌で知った。
カンボジアやタイを中心に東南アジアや中国でフィールドワークを重ねた研究者で、
内容も濃いし、文章もめったやたらにおもしろい。
三年前、リスボンに行ったとき、小坂さんに会って、
毎日何時間もノンストップで言語の話に夢中になった。
お互いに、身の回りに東南アジアの言語のことなんか
喋りあう相手がいないので、飢えていたのだ。
以後、あまりに距離が遠くてしゃべれないでいたが、
最近そのスカイプというものの存在を知り、私以上にネットに疎い小坂さんに教え、
やっと「会談」が実現した。
会談といっても、素人の私が質問し、専門家の小坂さんが片っ端からそれに答えるというものだが、ユーラシア大陸の東端と西端に住む二人が、東南アジアについて熱く語り合うなんていうのはネット時代にならなかったら不可能だった。
予想通りの楽しさだったが、ゾウ語研究はむずかしいことがわかり、
ちょっとガッカリ。
え、ゾウ語研究って何?…と思われるだろうが、
それについてはまた今度。

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Comment

  1. 太郎 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    た、高野さんよりネットに疎いと言うのは
    想像出来ませんが・・・・・
    SKYPEが使える国は良いですね、本当に。

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    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
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